続・猫の消息

しかし、一緒に暮らした人というのは恐ろしい。しかも年上の同性である。私が覚えていないことも覚えているし、意外なところに目が届いている。この家のありさまも、見えているに違いない。
「それで、あんた掃除してんの?」「あ…」
「料理してんの? あんたはキャベツの千切りだけは芸術的だったけど」「えっと…」
みたいな。これ以上は書かないでおこうっと。

猫の名前は、
ポンちゃん♂太ったしましま猫。毎朝彼が布団の上にのっかってくる重さで目が覚めたわ。鍵を勝手にあけるし、あんたの脱走で何度大騒ぎしたことか。
ミユさん♀とってもすました三毛の女の子でした。
ギンちゃん♂キンちゃん♀兄妹。きれいな白い猫でしたが、昔虐待されたらしく人間不信あり。
このキンギンに気に入られて下宿していた。

私は猫なんか全然興味も関心もなかったんだが、一緒に暮らしてれば、顔も名前も癖も、他人ごとではなくなってくるというものだ。今でももし見かけたら、他の猫と区別できる気がするもんね。
ボンちゃんミユさんギンちゃんが、去年死んだらしい。
ばいばいまたね。