パライソ

だから、政策の一貫性とかマニフェストの合理性とか、どうでもいいのよ。ピーヒョロロでもケロケロでもバケラッタでもなんでもいい。わしの人生はなんなんや、と、なんでこんなむちゃくちゃなんや、と、もうええわ、もう、わし、パライソ行くべ、投票用紙もパライソ書くべ、というような連中がおって、一揆票になるのよ。
政治がどうなろうが生活がどうなろうがいいのよ。生活と呼べるような生活はしとらん。政治が失敗したら、金持ちは貧乏になるかもしれん、でも貧乏人は貧乏人のままや、もっと貧乏になるかもしれんが、金持ちにはならん。税金あがったって怖ないわい。もとより払えん。病気する、仕事はない、金はない、結婚できん、しても借金取りが来るようになったら奥さんも子どもも出ていく、親からは文句言われ、世間からばかにされ、胡散臭がられて、もうええわ、なんか変わるんやったら変われや、壊れるんやったら壊れてもええで、わしはとっくに壊れとる、みんなでパライソ行くべ、パライソ。
というんで、パライソ票が増えるというんやったら、わしはその気持ちはよーくわかる。

と、パパが説明してくれたんですが。
このひと大丈夫かな。

パライソって書くの、と聞いたら、まだ書かん、ガンクツオウって書く、と言った。岩窟王?

そういえば、金大中元大統領が亡くなった。子どものころに最初に覚えた韓国人の名前はこの人だった。KCIAの拉致事件をぼんやり覚えている。光州事件で死刑囚にされたときは驚いた。ひとりの政治家の人生から一国の民主化の過程がわかるっていうのはすごいな。

ふつうに選挙ができるというのは、凄いことなのだ。


パライソ↓ 昔、スモーキーマウンテンという少年少女のグループが歌っていた。

Paraiso

 あのパライソへ帰ろう
 河は枯れはて 空をよぎる鳥もなく
 彼らの住処はどこにも残されていない
 空気は煙でおおわれ 緑の大地は遥かなるまぼろし

 たった一羽の鳥の姿が 心を喜びで満たしてくれる
 私は言葉を選び 曲を書こうとした 世界中の人に届くように

 故郷のパライソ
 私の家はダンボールの床と壁で出来ている
 そこで私は学んだ 生きるために主張する自由を
 ぼろ切れで出来た服 寒さを凌ぐビニール袋

 たとえ持ち物は空っぽの空き缶だけだとしても
 私はそれでも幸せだ
 他人の小銭を盗み 脅えて人生を暮らしたくない

 パライソ どうか力を貸して
 パライソ 私を導いて
 パライソ 世界に訴えよう

 たった一羽の鳥の姿が 心を喜びで満たしてくれる
 疲れきって 飢えた大地
 ほんの少しの真実と希望と敬意を 世界は向けて欲しい