広くなった

「畑、広くなったねえ」
と、うちの農場主は、一段高いところから、のどかに言う。
「こんどは、そこに、白菜植えようか」
などと、広くなった畑を眺めながら言う。
鍬を振るって、カヤの根を掘り返しているのはパパである。
そのあとに土を入れ、慣らして、はつかだいこんやホウレンソウを、一本ずつ植えかえているのは私である。
「革命が起きたら、貴族や領主は襲われる道理だな」とパパが言う。まったくだ、と思う。
農場主の仕事は、石で畑のまわりを囲うこと。残飯を埋めた穴に土をかぶせること。水をやること。それくらいはしてください。

近所の同じ年長さんのYくんが、ママと一緒に様子を見に来る。見に来てほしがっていたのはちびさんなのに、いざ来てもらうと、カヤのしげみの後ろに隠れてしまった。

晴耕雨読の日々。午後の1時間か2時間は畑にいる。明日の弁当に入れるレタスやパセリや水菜をちぎって帰る。パセリ、ちびさん食べるようになった。