自閉症児のコミュニケーション(自閉症基礎講座第3回) その5

実践編。工夫して生きるべし。

○ケース1 ご飯になっても遊びつづける。
「ごはんよ」と言っても遊びつづける。どうして?

呼ばれていることに気づかない。
まわりのことに注意を払えない。
目の前のことに夢中。
次に何をするのかイメージできない。
こだわりからやめられない。
ごはんがあまり好きではない。
相手の期待している中身がわからない。
どういう行動をすればよいのか思いつかない。

どうすればいいの?

ご飯と遊びの空間を分ける。
食事中おもちゃが目に入らないようにする。
遊び→食事 をスケジュールに入れる。
終わりの片付け箱を用意したり、片付け場所をはっきりさせる。
スプーンなど食事とわかるものを見せる。
没頭しすぎるおもちゃを置かない。
こだわりを片づけに利用する。
タイマーを利用する。
片付けの仕方や食事に行くときの具体的な行動を示す。「この箱にいれてね」「スプーンをテーブルに」など。

○ケース2 なかなか朝の支度ができない。

まわりに気になるものがある。
準備をする動機がない。
いつすればいいのかわからない。
何をどう準備したらいいかわからない。

対応例

手順表を見ながら。
ご飯を食べたら準備、という生活の流れをつくる。準備するスペースを決めてそこに移動する。
かばんをはじめに置いておき、準備するものを順番に並べておく。
終わったら好きなシールを貼る。
時計やタイマーで、準備の時間や家を出る時間を知らせる。
かばんをもたせ、一つずつ入れるものを渡す。などなど。

☆構造化

まわりにある物事の意味がとらえにくい。
 あいまいなことわかりにくい。自由な空間はわかりにくい。
 ひとつひとつ、あるいは関係のないものに衝動的に反応。
 関係のあるものとそうでないものの区別が困難。
 目に見えない境界がわかりにくい。
 はじめと終わり、時間の流れがわかりにくい。

環境の意味(物事のつながり、情報のつながり)を、ひとりひとりの特性と発達状況に応じて理解できるようにするための工夫。
 物理的構造化(空間を整理し、見てわかりやすくする)
 時間的構造化(時間を目に見えるようにする)
 視覚的構造化(物事を、見てわかるようにする)

○構造化で何を教えるのか
「~ちゃんのニーズ」
何を知りたがっているのか。何を知らないといけないのか。
注 そんなにやりたくないのに従ってしまうことがある。本当にそのひとにとって必要なことなのか。

○構造化の方法
ひとりひとりの認知の仕方(まわりを理解していくときの特性)や発達の段階にあわせて、情報を提示する。
 視覚的、具体的、決まった手順、わかりやすい使いやすいシステム。

○構造化のアイデア
構造化は、ひとりひとりの困難さや環境によってみんな違うもの

工夫例
○空間をわかりやすくする工夫。

場所と活動を1対1に対応させる。
ひとつの場所を多目的に使わない。
その場所に行くことで何をするのかわかる。
活動のはじめと終わりが明確になる。
境界をはっきりさせる。(敷物を敷く。家具で仕切る。衝立を使う)

空間が同じでも何をするのかわかる工夫。(空間を目的にあわせて仕切る。物の置き方や用い方を活動に対応させる。シートやイスの置き方など。)

○見てほしいものに注意を向ける工夫
気が散らないように刺激を減らす。
→物をへらす。片付ける。隠す。カーテンなどで見えなくする。家具の位置をかえる。必要なものが目に入りやすいようにする。

○気持ちを切らさない工夫
子どもがひとりで動けるように、途中で気が散らないように、活動するとき、とりやすい、片付けやすいように、
→導線を考える。移動距離をなるべく短くする。

○物の場所をわかりやすくする工夫
物の位置を決め、わかりやすくする。
→入れ物を置く。ラベルを貼る。

○時間の流れをわかるように
時間や活動の見通しをもつことが困難

時間の流れを見てわかるようにする。(予定を目に見えるかたちで提示することにより、見通しがもてるようにする)

予測ができることで
安心できる。自立して行動できる。変化に対応できる。柔軟になる。コミュニケーションが促される。

○時間の流れがわかる工夫
スケジュール 活動の流れを視覚的に示す。
手順書 物事の手順を視覚的に示す。
時計・タイマー 時間を視覚的に聴覚的に示す。

○スケジュールの工夫
どんなものを使って
 実物、ミニチュア、写真、絵、シンボル、文字等
何を
 子どもにとって必要なこと、知りたいこと
長さは
 ひとつ、ふたつ…、一部、全部
どのように順番を知らせるのか
 その場で・スケジュールコーナー(移動用カード)
 上から下、左から右、めくり式、終わりボックス
個々に応じた配慮は
 はめ込み、色、目をひくもの、カードの背景、持ちやすさ、など

○物事の手順がわかる工夫
手順を細かくステップに分け、見えるかたちにして、順番に教える。

○目で見てわかるように
やり方を視覚的に示す。
大切な情報をはっきりさせることで、どこに注目すればいいかわかるようにする。
活動に使う物を目で見てわかるよう整理して、自分で扱えるようにする。

○やり方を視覚的にあらわす
手順書。絵や写真の見本。完成品の見本。終了箱。
なにを、どれだけ、いつまで、終わったら何があるか、を目で見えるかたちで示す。

○大切な情報をはっきりさせることでどこに注目すればいいかわかるようにする。
色をつける。アンダーラインをひく。ラベルをつける。目立たせる。数を減らす。コントラストをつける。

○活動に使うものを目で見てわかるよう整理して、自分で扱えるようにする。
使うものの整理。種類ごとに容器に入れて配置。広い空間は分割。

(まだ、つづく。でもたぶん、次で終わり)

昔、道でたまたま並んで立った路上生活者のおじさんに、「工夫して生きんと」と、ふいに声をかけられたことがあるが、いやまさに、工夫して生きんと、という話。
いまのまま、つまりちびさんの家庭での環境の構造化が、いまのままのいいかげんさでは、小学校ではやっていけまい。(これ以上の情報にたえられまい)。それくらいは私にも予測がつく。
なーんとかしなければ。どーやって整理整頓するか。モノが多すぎる。部屋はせますぎる。