自閉症の子どもの生活づくり その2

(つづき)

☆☆大人が意識する生活づくり

基本的生活習慣の自立。食事、排泄、着脱、などなど。
社会的マナーを知ること。(自閉の子は、まわりからどう見られているか、わかりにくく気づきにくい)

*「大きくなったらできる」が通用しない!(大きくなって身につけるのは困難)

生活習慣が身につくためには。
 わが子の生活を客観的にチェックする。
 「少しずつ」がんばる部分をつくる。
 「毎日」取り組む
 「ちょっと頑張って」=できた!という成功体験
 家庭と園との連携

着脱
 服を一人で着脱できる?
 服を自分で選ぶ?
 服の前後がわかる?
 服の種類がわかる?
 身だしなみは整っている? 
   ↓
 ステップがいっぱい
   ↓
 自分で着脱できる素材・大きさ
 服を自分で選ばせる
 前後がわかりやすいデザイン
 着脱場所の工夫
 服の片付け場所や片付け方の工夫
 着る順番を知る

排泄
 布パンツで過ごしている?
 告知して一人でトイレに行くことができる?
 トイレのなかでズボンを脱いで排泄できる?
 後始末はおしっこでもうんちでもできる?
 身だしなみは整っている?
 手洗いは言われなくてもできる?

 紙パンツへのこだわり(感覚過敏の子に多い)
  布パンツで濡れることが嫌、トイレにすわる感覚が嫌、など。
  紙パンツをまったく家に置かないことも対処法。

 トイレの取り組みで大人が意識して伝えたいこと
  脱いでからトイレに行ってない?
  ドアは閉まっている?
  立ち便器でお尻が見えてない?
  パンツをあげずに出てきてない?
  手洗いは? ハンカチで拭いている?
  身だしなみは?
  性別を意識した関わりも。

☆生活づくりのポイント

 本人ができそうなところまで見守る
 少しずつ見守る部分を減らしていく
  ↓
 ちょっと頑張って「できた!」と感じられることが大事。

 変更することが苦手な自閉症
  ↓
 大人にやってもらうことがあたりまえになってしまうと、大きくなってから変更しにくい!
(自分でやっていないとわからない。他の人がしていることへの想像力が働かないから、自分が知らないところでおこっていることはわからない)

 自閉症同士のカップルに赤ちゃんができて、親たちだけの子育てが難しいので、サポートに行くと、赤ちゃんをお風呂に入れるのに、湯がとても汚い。親たちは、家にいたころ風呂掃除をしたことがなく、風呂掃除が必要だということに気づかずにいた。という例。
 (うんうん、そういうことは、たくさんあります、と思った。常識、はわからないのである。自分で体験したことしか。)

 自分から考えることが苦手な自閉症
  ↓
 わかりやすい生活グッズの工夫が必要

 自閉症の子どもたちは周囲から自分がどう見られているかを感じることが苦手
  ↓
 社会的マナーも意識した生活づくり。小さいうちから身につける。
 大きくなったらできる、は通用しない。大きくなったら抵抗が大きい。


☆☆「自分」ってステキ!と感じる生活

 怒られたり、注意されることが多い子どもたち
  ↓
 知らずしらずのうちに自分に自信がなくなってしまう
 
 子どもの好きな時間を作ってますか?
 みんなから認められる時間がありますか?

<お手伝いのすすめ>
 みんなから「ありがとう」と言われることで、
 「僕、私ってステキ」と自己肯定感を感じる。
 自分が自分であって嬉しいと思える。

 子どもの好きなことを活かす。
  水が好き 
  運ぶことが好き
  力を入れることが好き
  手先が器用

☆☆まとめ(将来を見通して)

どんな大人に育ってほしいか
どこでも、いつでも子どもが安心して過ごすことができるための工夫を。

人との関わりの基盤を育てる。
要求→「手伝って」と伝えられることも大切!困ったときに、人に頼る方法を知ること。 
期待→周りの人が期待してくれる、ほめてくれることを感じられる。

思春期を視野に入れた基本的な生活習慣
社会的マナー→周りの人から愛される人に!
性を意識した関わり→恥ずかしいことをきちんと知らせる

自己決定できる力
「~したい!!」と自分から決められる生活づくりを!
自分で選ばせる体験を。

自閉症の特性を理解しつつ、子どもの良い部分を生かし、今大事にすることは何か? あらためて考えていきましょう。
でも困ったことがあったら、いつでも相談してくださいね! 一緒に子育てしましょう。

(おわり) 


自閉症に限らないだろうが、自己肯定感の、どっか壊れている人間が、子育てしているのだ、と思うと、この世はちょっとこわいな。で、そのちょっとこわいことを、私たちもしているわけだ。
この家族は、どっか壊れている。たぶん、ちょっとへんだ。親の親世代まで見ても、どっか壊れている。どうやってこの破壊(内面の破壊)を、私のところでくいとめるか、次の世代へ伝えないでいられるか、を考えると、ストレスでつぶれそうになる。
とても子どもをもつ勇気などなかったけど、ちびさんどこで道に迷ったか、来てしまった。ああ、来てしまったよ。
きみは、壊れるな。