てんびんばかり

金木犀が匂ってきて、10月になったなって思ったばかりの気がするのに、もう半ばを過ぎた。春から夏にかけて、ずっと肩が痛くって、ほったらかしだった庭と畑(管理放棄地を無料で使用)が、すごいことになっていて、10月は町内会の掃除もあるから、それまでになんとかしなくちゃ、肩の痛みもすこしはましだし、と思って、10月はじめ、畑にゆきましたら、
隣家の奥さんが、待ち構えていた。
「手伝ってあげるから、草刈りするよ」
私より10歳くらい年上だと思うんですけど、私は怖くてさわれない電動草刈り機で、バリバリバリバリ、刈っていってくれました。どうも、すみません。
「もうすぐ冬になるから」と隣人は言うのです。
私は(冬になったら、草は枯れるから、あとはもう放っといていいから)と話を続けようと思ったのですが、彼女は「夏は暑いし、冬は雪でできなくなるんだから、いまのうちに手入れしないと」と続けたのでした。
あ、そっちが正しいかもしれません。


ときどき早朝に、ピンポン鳴って、出てみると、人はいなくて、玄関に野菜や芋や栗が置かれているのでした。ゴン、おまえだったのか。
畑で取れたのとか、あちこちでもらったのとか。お隣からとか、お隣のお隣から、とか。今年は夏も秋もたくさんもらった。すいかといちじくも。
うちの畑は、さつまいもが少しだけ採れた。ブルーベリーは飽きるほど採れた。いまは、畑の周辺は草刈してもらって、残ったところが、すすきとコスモスの丘。

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中3のときの文化祭のステージで、男子が、ひとりでギターで弾き語りしていた。小学校の頃の同級生で、荒れた子だった。そのときの歌の歌詞が、ずっと心に残ってた。「天秤ばかりは重い方に傾くじゃないか。どちらかが重いはずなのに、どちらにも傾かないなんて、おかしい」
それが、河島英五「てんびんばかり」という曲だということを、先日知った。

いきなり、あの頃のことをいろいろと思い出した。歌ってた男子、私は親しくなかったけど、弟が、親しく遊んでもらっていた。子どもたち、地域性とか親とか貧困とか、いろんなことのなかで、いろんな表情をしていたんだなと。
あのころ身近にいた大人たちが、みんな死んでいることが、なんだか不思議だけれど、自分たちが、あのころの大人たちより年齢が上になったなんて、もっと不思議だわ。

── 何が正しいかわからないけれど、自発性でなければ正しくない ──

あの文化祭から15年後くらいに気づいた。私の「てんびんばかり」。

 

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去年亡くなった歌人、蝦名泰洋さんの歌集を出版したい(野樹かずみ 2022/10/04 公開) - クラウドファンディング READYFOR

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