王様は約束を守らない

「国には悪いドラゴンがいて、みんなを困らせていたんだ。それで王様が、ドラゴンを退治した英雄には、自分の娘をお嫁さんにあげるって、おふれを出したんだ。それで、××(名前忘れた。なんかのお話の主人公)はドラゴンを退治して英雄になって、お姫様をお嫁さんにもらうんだ。」
という話を、日曜日、子どもが車のなかでしていたんだが、パパ、
「その話は嘘だな」と言う。「王様は約束を守らない」

「いいか、ドラゴンを退治して英雄になろうなんて思うな。ドラゴンを退治しても、英雄にはならない。王様はお姫様をくれない。ドラゴンを退治しても、お姫様も賞金ももらえない。感謝もされない。それどころか、あれこれ難癖つけられて、処刑されるか、牢屋にいれられるのがオチだ。王様はドラゴンが退治できればいいので、英雄はいらないんだよ。王様に約束を守らせようと思ったら、民衆がそうさせるしかないが、民衆もドラゴンさえいなくなればそれでいいので、英雄のことなんかどうだっていいんだ。」

子ども、自分のお話を(テレビでみたアニメの話だけど)ぐちゃぐちゃにくずされて、ショックでうなだれてしまった。
パパはさらに言う。

「王様は絶対に約束を守らない。民衆だって残酷なんだ。だから英雄になろうなんて思うな。処刑されるか牢屋にいれられるか、そのあとものすごくみじめになることを覚悟してから、ドラゴン退治に行くべきだ」

しょうがない。パパのお話のほうがリアルだわ。
原発というドラゴンとたたかっている英雄たちはどんな扱いを受けるんだろうな、と思いながら、きいていた。

だからさ、もしも、約束を守る王様がいたら、えらいんだよ。
それで、王様は約束を守らなくても、きみは約束を守る人になればいいんです。わかった? というと、はい、と手をあげる。自分がどうすればいいかがわかると、ちょっと混乱から立ち直れるのだった。

こんど、「スーホの白い馬」っていうお話を読んであげるよ。
白い馬は王様のひらいたレースで一等賞になったのに、殺されてしまうっていう話。



雨。桜ちってしまうなあ。

昨日は朝、学校に行って、校長先生と教頭先生と保健室の先生とお話した。話はすっきりできて、新しい校長先生にも挨拶できたし、保険のこともわかったし、子どもの靴箱も背の届くところになった。近所の子どもたちの、パトロールのおじさんたちに対する態度の悪さも、何から何まで告げ口してやったい。
夜Sくんのお母さんと話する。怪我のことも言う。全然知りませんでした、と言う。毎朝Sくんに追いまわされるのが子どもはこわい。悪気はないとわかるのですが、でもそれで怪我をするということになって、それでも朝突進してくるので、こないだ強く叱りました、ということも言う。
遊びにくる度に、宿題すんだとか塾は休みとか嘘をいうのもあれなので、ランドセルもってきて、うちで宿題するように言ってください。30分だけは宿題してそのあと遊ぶというふうにしましょう。塾の日は来ても追い返します。という話をする。
Sくん、学童保育がいやで脱走して、行き場がないんだな。で、わざわざ坂道のぼってやってくる。ふたりとも遊ぶのは楽しそうに遊んでいるので、約束してから来る、帰る時間を守る、という若干のルールづくりができれば、うちの子も混乱しないし、夜になってから片づかない宿題に泣かなくてもすむ、はず。