病気とか選挙とか

昨日、久しぶりにF老夫婦のところに行く。おじさんが入院する前に訪ねて以来だから、数ヶ月ぶり。おじさんは頭に水がたまる病気のほうはまずまず落ち着いているんだけど、いろいろ病気を抱えたおばさんが、老老介護兼病病介護を耐えられないので、そのまま病院に預かってもらっている。法律的にむずかしいことがあるそうで、3か月ごとに違う病院に転院しなければいけない。
おじさんがお菓子を食べたがって、差し入れのお菓子代が大変だけど、まあまあ歩けるぐらいにはなってるわ、と言う。
おじさん、病院のみんなにわりと好かれていたらしい。やさしい人だし、愛想はいいし。

ところが、選挙のときに、おじさん、当然病院で選挙するつもりで、家から葉書ももってきてもらっていたのに、事務長が慣例にしたがって、どこに投票したが知らないが、患者さんたちのぶんも選挙をすませちゃったのだ。
おじさん、怒った。ものすごく怒った。
体に不自由はあって、一見、まわりの認知症の患者さんたちと区別つかなく見えるが、頭はしっかりしていて、しかも昔、警官だったのである。
事務長がしていることは懲役何年以下の犯罪だと、怒った。
「きっとねえ、家で私を怒るときみたいな凄い怒り方をしたんじゃないかと思うわ。外づらのいい人だから、看護師さんも掃除のおばさんにも、もてていたのが、あれからみんながこわがって近寄らないのよ」
とおばさんが笑う。事務長は選管に行って事情を説明して、何をどうしたのか、おじさんに投票用紙を渡して、書いてもらったらしいんだが、それは、票になったのか?
書かせるだけ書かせて納得させて、捨てたんじゃないの? というのはおばさんの推測。
でも、患者さんのぶんの投票も病院がするっていいの?ってきくと、棄権するよりはいいから、してるでしょうよ。どこの党が、というわけでなく、関係者の判断でしてるわよ。××党はよくやってるってきく。
だとしたら、おじさんの入れたかったところではない。
おじさん、来月からまた別の施設に移るらしい。

おばさんのほうはというと、
「死にかけたのよ」と言う。ほんの一週間前。
おばさん、これまでも何度も死にかけているので、驚かなくなっているんだけど、大変だったらしい。
「なんとかって病名言われたけど、ショックで忘れたわ」
私もおばさんの病気、どこにどれだけあるのか正確に覚えてない。癌があり、転移していて、ほかに腎臓と、糖尿もある。
それで、肝臓の医者に言われて、ずっと飲み続けていた薬が、腎臓にはよくなかったらしく、むくみがひどくなって危なかったらしい。薬をやめて、塩醤油を禁止、と腎臓の医者に言われて、それから数日したら、すこしむくみもひいて、すこし楽になって、ようやく起きあがったところ、という。でも肝臓の癌は一個増えた。

「これだけ重い病気をいくつもかかえて、よく生きてるって医者に驚かれたわよ」と笑うのでしたが。

塩醤油なしで、何を食べるんだろうなあ。
タンパク質を取るように言われたけど、高タンパクになってもまずい。生野菜も生魚も駄目。病気によって食事制限の種類が異なっていて、あれもこれもそれも駄目なんだが、食べないのも駄目。
難しすぎる。

というので、もらって帰った。食べられなくなった食材や菓子、おじさんが入院前に買いだめていた発泡酒その他。

ありがとう。