荒れ模様の天気だった。雨だけかと思っていたら、県北では雪も降ったらしい。
畑の植えたばかりの苗が心配。最初に植えたのは、霜でやられてしまって、植え直したばかりなのだが。
向かいの森の桜も散った。
家庭訪問週間なので、午後の授業がない。子どもが帰ってくると、5分もしないうちに、Sくんもやってくる。手ぶらでくるので、宿題をとりに帰らせる。宿題もってまたやってくる。
うちが学童保育になった。
かろうじて宿題すませて、ふたりが遊びはじめた声をきいていると、
なんといえばいいか、ことば、というものがない。
キャー、アー、ワワワ、ブッブー、ダダダダダ、キキキー、ゴゴゴゴー、ブルルンブルルン、ドドドドド、ウーウーウーウー……
うなり声の連続である。
たぶんなあ、進化の道筋が、蛙の次が車で、猿の次が電車、みたいな、そんなふうなのかもなあ。
こういうのが30人もいたら、たまらんなあ。
と思う。
5時までたっぷり遊ぶつもりが、Sくん、3時すぎにお母さんから電話がかかる。家庭訪問だから帰ってこいというのでしょう。いやだ、帰りたくない、と受話器かかえて泣いている。
泣きながら帰っていった。
そろそろ先生来る時間ですかね、と思ったが、来ない。予定を30分過ぎても来ない。1時間過ぎてもこない。
新任の担任を、パパはフリーズちゃん、と呼んでいる。耳の怪我で、病院に連れていったとき、病院から怪我の具合を担任に伝えたとき、電話の向こうで、先生、たぶんどう対応していいかわかんなくて、黙っちゃったらしいのだ。ケータイがこわれたかと思ったら、先生が凍ってたんだ。
時間割を電話で伝えてくれたのを私が受けたときも、話の途中でふいの沈黙があったりして、これは他人ごとと思えない不器用さだ、と思ったんだけど、
フリーズちゃん、道に迷ったか。たぬきにとおせんぼされたか、いのししに見つかったか、熊に食われたか、大丈夫かな、と勝手なことを言いながら、待ってたんだけど、ようやくたどりついたのが、2時間後。すでに6時前だった。道に迷ったらしい……。
聞くとあと2軒残ってるっていう。うちはいいから、先へ行きなさいよ、っていう気持ちになったけど。
発達障害への理解はある先生だなと思った。子どもの席も一番前に移してくれていた。
何か要望はありますか、というので、
はじめてのことがむずかしいかもしれないこと、運動能力には遅れがあると思うこと、耳の過敏があるので、耳栓を使うのに、ほかの子にそれでとやかく言われたりしないようにしてほしいこと、などへの配慮をお願いした。
人間関係の難しさは、何かあったらその都度いいますのでお願いします、先生のほうで気づいたことあったら言ってください。私が親に言いに行ったほうがよければそうします。
連絡帳は、みました、の一言書いてもらえれば安心します。
耳をひっぱった22番には、注意してくれたそうで、怪我のことで、心が傷ついてないか心配してくれる。
犯人はうちに入り浸りになる気配だし、22番は、いじめようと思ったんじゃなくて、これ、なんだろうと思ってひっぱったんだよ、と理解しているし、襲ってくるのも遊びたいだけだと理解しているので大丈夫とは思いますが。
とは答えたんですが。
クラス、さわがしくて、授業はほとんどすすんでないんです、という。怪我させずに帰すのがせいいっぱいで。すみません、力量不足で。
って、いえ、謝らなくていいですから。
ああ、目に浮かぶ。なんか一生懸命なフリーズちゃんで、いや、ほんとにかわいらしい先生なんですけど。
先生が行ったあと、子どもに聞いてみたら、今日は授業中にSくんと19番が喧嘩していたらしい。教室は、音楽の時間じゃなくても耳栓を使いたいほど、うるさいらしい。使っていいよ、って言ったら、でも4番の女の子が使っちゃだめって言うんだ、と言う。
ぼくは使っていいんだ、先生に言ってあるから、って言いなさい。
教室がいつもうるさいってことは、かなりしんどいなあ。
フリーズちゃんのことは好きみたい。来てくれたのに、ぼくはお話できなかった、って泣いていた。
しょうがない。一年間フリーズちゃんと一緒にがんばろう。
畑の植えたばかりの苗が心配。最初に植えたのは、霜でやられてしまって、植え直したばかりなのだが。
向かいの森の桜も散った。
家庭訪問週間なので、午後の授業がない。子どもが帰ってくると、5分もしないうちに、Sくんもやってくる。手ぶらでくるので、宿題をとりに帰らせる。宿題もってまたやってくる。
うちが学童保育になった。
かろうじて宿題すませて、ふたりが遊びはじめた声をきいていると、
なんといえばいいか、ことば、というものがない。
キャー、アー、ワワワ、ブッブー、ダダダダダ、キキキー、ゴゴゴゴー、ブルルンブルルン、ドドドドド、ウーウーウーウー……
うなり声の連続である。
たぶんなあ、進化の道筋が、蛙の次が車で、猿の次が電車、みたいな、そんなふうなのかもなあ。
こういうのが30人もいたら、たまらんなあ。
と思う。
5時までたっぷり遊ぶつもりが、Sくん、3時すぎにお母さんから電話がかかる。家庭訪問だから帰ってこいというのでしょう。いやだ、帰りたくない、と受話器かかえて泣いている。
泣きながら帰っていった。
そろそろ先生来る時間ですかね、と思ったが、来ない。予定を30分過ぎても来ない。1時間過ぎてもこない。
新任の担任を、パパはフリーズちゃん、と呼んでいる。耳の怪我で、病院に連れていったとき、病院から怪我の具合を担任に伝えたとき、電話の向こうで、先生、たぶんどう対応していいかわかんなくて、黙っちゃったらしいのだ。ケータイがこわれたかと思ったら、先生が凍ってたんだ。
時間割を電話で伝えてくれたのを私が受けたときも、話の途中でふいの沈黙があったりして、これは他人ごとと思えない不器用さだ、と思ったんだけど、
フリーズちゃん、道に迷ったか。たぬきにとおせんぼされたか、いのししに見つかったか、熊に食われたか、大丈夫かな、と勝手なことを言いながら、待ってたんだけど、ようやくたどりついたのが、2時間後。すでに6時前だった。道に迷ったらしい……。
聞くとあと2軒残ってるっていう。うちはいいから、先へ行きなさいよ、っていう気持ちになったけど。
発達障害への理解はある先生だなと思った。子どもの席も一番前に移してくれていた。
何か要望はありますか、というので、
はじめてのことがむずかしいかもしれないこと、運動能力には遅れがあると思うこと、耳の過敏があるので、耳栓を使うのに、ほかの子にそれでとやかく言われたりしないようにしてほしいこと、などへの配慮をお願いした。
人間関係の難しさは、何かあったらその都度いいますのでお願いします、先生のほうで気づいたことあったら言ってください。私が親に言いに行ったほうがよければそうします。
連絡帳は、みました、の一言書いてもらえれば安心します。
耳をひっぱった22番には、注意してくれたそうで、怪我のことで、心が傷ついてないか心配してくれる。
犯人はうちに入り浸りになる気配だし、22番は、いじめようと思ったんじゃなくて、これ、なんだろうと思ってひっぱったんだよ、と理解しているし、襲ってくるのも遊びたいだけだと理解しているので大丈夫とは思いますが。
とは答えたんですが。
クラス、さわがしくて、授業はほとんどすすんでないんです、という。怪我させずに帰すのがせいいっぱいで。すみません、力量不足で。
って、いえ、謝らなくていいですから。
ああ、目に浮かぶ。なんか一生懸命なフリーズちゃんで、いや、ほんとにかわいらしい先生なんですけど。
先生が行ったあと、子どもに聞いてみたら、今日は授業中にSくんと19番が喧嘩していたらしい。教室は、音楽の時間じゃなくても耳栓を使いたいほど、うるさいらしい。使っていいよ、って言ったら、でも4番の女の子が使っちゃだめって言うんだ、と言う。
ぼくは使っていいんだ、先生に言ってあるから、って言いなさい。
教室がいつもうるさいってことは、かなりしんどいなあ。
フリーズちゃんのことは好きみたい。来てくれたのに、ぼくはお話できなかった、って泣いていた。
しょうがない。一年間フリーズちゃんと一緒にがんばろう。