ふと人と、話したくなり、かといってだれでもいいというわけではなく、
こんなことがあってあんなことがあって、と気持ちをゆるして話したくなる人というのは限られているのであり、
話しにいきたいなと思い浮かべる行き先のひとつひとつが、
みんなもう死んでるじゃんね!
と気づいて、涙がぼろぼろ出た。
ふだんよく、泣かずに生きてる。
しょうがないので、幽霊とお話しする。
話したくない。あんたに話したってどうせわからん。
と、言われたのは、学生の頃、被爆体験を聞かせてもらったころのことだが、
にもかかわらず、
それはもちろんわからないけど、でも聞かせて、
と言うことができ、聞かせてもらうことができた、二十歳そこそこの自分の姿をもう想像つかないんだけども、
話したくない、という気持ちのほうはむしろよくわかるようになってきた。
ああそうだな、幽霊たちがもし生きてたら、私やっぱり話さないかもしれません。
話さないけど、話さなくても、安心したんだろうなあ、
ということだと思う。
相手を傷つけることなく侮辱することなく、聴く、というのは難しいことだ。
でもそれができる人が、まれにいて、
それは理解してくれるとか、そういうこととはまた別のことだが、
とにかくそのような人に、身近にいてもらえたことがあったというのは、
幸福なことだったのだろうなあ。
落ち着いて、ゆっくり考えたいことが、いくつかあるんだけれど。
あとでまた幽霊さんたちにつきあってもらおう。
その前にしなければいけない用件が、いくつもあるので、さしあたりまず、お腹すいたのでごはん食べる。