こわい女子

午後郵便局に行く。
海外への郵送について、どういう送り方が安いかとか、でも特別な封筒でないと印刷物と認めてもらえないなら、その封筒代の値段考えると手紙扱いでも一緒か、とか、田舎の郵便局なので後ろに列つくって待ってたりしないので、のんびりやりとりしていたら、別の仕事していたおねえさんが、「そういえば、息子さんはピアノ弾きますか」って訊く。
夏の発表会で見かけて記憶に残っていたらしい、この前、私と一緒に郵便局に来た子どもを見て、あら、あの男の子だ、とわかった。
どこで誰に見られてるかわかんないってことだなあ。

郵便局のお姉さんが、上手だったってほめてたよって、子どもに伝えようか。だから、こないだ私があれこれの手続きしているときに、自動ドアを開けたり閉めたりふざけてあそんでたのが誰なのか、すっかりばれてるってことなんだけども。

ちょうど、バス停あたりで、帰ってくる子どもと時間があいそうだったので、待っていて一緒に帰る。稲穂のゆれる道をゆらゆら帰りながら、
また1年たったんだなあって思う。去年の今ごろもこの道を一緒に帰った。


帰りながら子ども、
「今日は給食のときいやなことがあったんだ」って言う。
きくと、出席番号6番女子が、給食当番が一緒なんだけども、
「ぼくのことを、のろいって怒るんだ」そうだ。

ああ、出た。6番女子はねえ、たぶん学年でいちばん体が大きい。その後ろの番号の私の子どもは、たぶん学年でいちばん体が小さい。その大きい女の子は、夏休み前も何度か、リコーダーの色が違うとか、手提げのかたちが違うとか、何かにつけて、子どもが言うには「ぼくを批判する」らしく、それで私たちは、彼女に紅衛兵って、あだ名をつけたんだけど、
担任の先生にも何度か言ったんですが、

んー、夏休みが終わっても健在だった、紅衛兵

夜になって、子ども、「連絡帳に書いて」って言う。
また書くの? と私は気がすすまない。のろいって言われたのは仕方ないような気もするし。女子はいろいろうるさいもんだし。
でも急いで、給食こぼしたらたいへんだから、のろくていいんだよ、気にするなよ、って言ってみたんだけど。

「きらい」って言ってやれ、ってパパが言う。女の子はそれがいちばんこたえるよ。

「ぼく、クラス替えしてほしい」って、子どもは言う。
あらら。でもクラス替えして、それでまた去年みたいにSくんとかMちゃんとかと同じクラスになったら、どうする、ってきいたら、
「あのふたりは、仲間みたいなときもあるし、いじめるときもあるし、気分によってかわるだけだから」
それはまだ、ましなのらしい。まあ登校班も一緒だし、慣れてるし。

ところが今年あらたに出現した紅衛兵は、ずっと紅衛兵で、いつどんな「批判」がはじまるかわかんなくてこわい。
「ぶっ殺すって、言ったんだ」

連絡帳に書いてあげるよ。
ぶっ殺すはよろしくない、6番女子紅衛兵