中也さんの帽子

29日、中原中也のお誕生日なので、中也記念館は無料。
詩の朗読会や授賞式やコンサートもある。
記念館の庭で、カルメン・マキのコンサートが無料。

だったらしく、いつものように帰りに寄ったら、庭にも館内にも人がいっぱいだった。

コンサートは、もしかしたら、書かないほうがいいんだけど、
いやな客がいて、ああこんなところまで、こんな連中がいるのかと、あきれたから書いておこう。

コンサートの最中に、前にいた太った男が、写真撮影禁止なのに、写真撮っていたけど、その男、振り向きざま、「殺しちゃうよ」って私たちに言ったのだ。

私の耳は性能が悪いので、想定外の言葉は、耳に入った音が意味になるまでに、時間がかかって、何を言われたかすぐにわからない。それですぐに対応できなかったりするんだが、
言い方自体はおだやかだったし、耳をうたがったが、男はやっぱりそういったのだ。
そのとき私は、ちょうど建物のなかから出てきた子どもと会話していたが、
無料の屋外のコンサートで当然そういうことは起きるし、子どもはうるさくはなかったし、たとえ大騒ぎしていたとしても、言ってはいけないことだよ。

で、コンサートだけど、かんかんでりの戸外で、歌手は歌いづらそうだった。まぶしいと言い、気管支を痛めているとも言った。
でも、あのあと会場の空気が何かしら痛ましいものに感じられたのは、ただ私がそう感じるだけかしらと思ったけど、
もしかしたらそうじゃないかもしれない。たぶんああいうことがあると、気づかなくても何かが傷つくんじゃないかしら。あの男が傷つけたのは、私たちだけじゃない気がする。見えない心がつながっている、のが、あのようなコンサートの場だと思うのですが、たぶんあの男は、そこにいた人たちみんなの見えない心を傷つけたと思う。

あれは、大騒ぎして警察よんでもよかったなあ。そうしたらコンサートぶちこわしだけど、もしかしたらそのほうがすがすがしかったかもなあ、というようなことを、あとからつらつら思ったが。でもそんなこと、よっぽど気力がなけりゃできません。
なので、せめて書いておこう。



ところで、記念館の受付では、中也さんの帽子を売っている。
子ども、この帽子がほしい。
受付のお姉さんがかぶっていいよって言ってくれたので、うれしそうにかぶっていた。ぶっかぶか。

ウサギの皮だっけか、特別注文19000円だって。とんでもない値段だ。でも彼は、そもそもはアニメの、かものはしペリーがかぶってる帽子がほしいのだから、それらしく見える茶色い帽子なら、なんでもいいのである。サイズがあう安いやつをどこかで見つけたら買ってあげるよ。

記念館のなか探検して遊んでいた。