息子と青春18切符の旅 2日め天橋立と城崎温泉

2日目。起きてすぐ移動開始。地下鉄で大阪駅。駅のコンビニで時刻表とおにぎりとパンとお茶買って、京都へ。京都から山陰線に乗って福知山へ。途中、嵐山と亀岡の間でトロッコ列車見かける。息子が小さい頃、乗ったことあるよ。福知山までいたって順調に、予定より早く着いた。
が、このあと天橋立に行くために京都丹後鉄道に乗り換えする予定が、つい、目の前に止まっていた城崎温泉行に乗ってしまった。豊岡で乗り換えてもいいんじゃないかと思ってしまったのだが、豊岡からだと、列車の本数が少ないから、このままだと行けなくなるよと息子が気づく。では引き返そう、と次の駅で降りたらこれが。

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山のなかの無人駅らしい。上川口駅。次の列車までなんと2時間ある。幸い朝早く出たので、それでも天橋立で遊ぶ時間はとれるけれども、2時間、山のなかのこの駅で、どうするか。あたりにはこじんまりした集落があるだけだし、よく晴れて暑いから、歩き回るのもつらいし。
息子、今度は私のカメラで、通過列車を撮影したりして、マイペースに楽しんでいるが、しかし時間ありすぎる。待合室の椅子で、夏休み帳もひらいてみたが、これは数ページでいやになる。

おじいさんがやってきて、花の水やりなどはじめる。
それでお話する。ここはどこかしら、とか。
六十内(むそうち)というところらしい。福知山市に合併されたが、昔は村だった。おじいさん、国鉄OBで、いまこの駅の名誉駅長さんだという。掃除と花の手入れをしている。79歳。日和さん。
ときどき、間違って降りる人もいるそうで、夕方、間違って降りて途方にくれているおばあさんを、いくつか先の無人駅、さらにその奥の自宅まで、車で送っていったこともあったよ、などと話してくれる。
「ここを走る列車が電化されたのはいつですか?」というようなことを息子は聞く。さあ、いつやったか、東京オリンピックのときは、まだ蒸気機関車やった、とか言いながら、おじいさんと息子楽しそうである。
もっている時刻表にはこの駅の名前が載っていないことを息子が言うと、それはいかん、と家まで取りに行ってくるという。
家は近くで、しばらくしてもどってきたおじいさん、名誉駅長さんの正装をして、帽子をかぶっている。
息子、名誉駅長さんの立派な帽子をかぶせてもらって、一分間名誉駅長になった。ごきげんである。
名誉駅長さんの仕事仲間らしい、駅のゴミを収集に来たおじいさんも、「そうか、広島から。いい旅をしてるな、羨ましいな」と息子に言ってくれるし、天橋立に行く乗り継ぎの仕方とか、切符の種類とか、教えてくれる。
ようやく電車が来たころには、息子すっかりここが気に入って、
「不思議だねえ、最大の失敗が最高の思い出になったよ。またここに来よう」って言う。
名誉駅長さん、たいへんありがとうございます。しあわせな時間をもらいました。

教えてもらった通りに乗り換えて、天橋立到着。海水浴客の横を、昨日のビニール傘をもった息子が歩いていく。泳ぐことは考えてなかったな。しばらく天橋立の松林のなかを歩いたが、息子は、山の上のビューランドに行きたくてそわそわしている。
なので、早々に引き返して、山上までリフトで行く。息子はリフト初体験。山頂からは天橋立がきれいに見えた。空も海も青くてきれいだ。ほんとうに、天橋立って、あるんだなあ。百人一首のなかにだけ、あるような気がしていたけど。まだふみもみずあまのはしだて

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さてそこには、観覧車とかゴーカートとかあって、乗るわけだ。息子はここで小遣いを使い果たす。最後の500円は、何かあったときに、ごはんは食べなくても水は飲まなくちゃいけないから、水代と思ってとっておく、使ってはいけない、と言い渡したけど。
ゴーカートが135センチ以上じゃないと乗せてくれないって言う。息子身長たりないが、靴のゴムと、帽子をすこし浮かせたのとで、ぎりぎり135センチ、乗ることができた。上手に運転していたよ。


お昼ご飯は、列車のなか。天橋立のお弁当屋さんの唐揚げ弁当をはんぶんこ。唐揚げをその場で揚げてくれたのがおいしかった。一日大事に持ち歩いていたビニール傘だがついに、天橋立駅で忘れてきたらしい。城崎温泉にたどりついたときには、もってなかった。途中、豊岡の駅で、除雪車を見る。「はじめて見たよ」。

この日は城崎温泉泊。息子は浴衣を持参。もらったものの着る機会のなかった、寅さんの、男はつらいよのデザインの浴衣を着て、楽しそうである。部屋に机があるので、夏休み帳。それから「ママ、これはなんだと思う?」とポーズする。弥勒菩薩像ですかね。大当たり。

息子、下駄をはくのも生まれてはじめてかな。まず温泉めぐり。といっても、2か所で十分だったが。修学旅行生に混じって、お土産やをうろうろする。息子はもうお金がないので、しょうがないので買ってやる。キーホルダーとかそんなもの。
晩ごはんをどうするか。私はひとりで飲食店に入るのが苦手なのだが、息子を連れていてもやっぱり苦手だ。結局また、コンビニに向かうのであった。ぶっかけうどんと寿司。それから白いごはん。息子のために使い切りのカメラをひとつ。
部屋にもどって、ごはん食べる。白ごはんには鶴橋で買った韓国海苔をのせて食べた。

ちょうど、お祭りで花火が上がるよというので、通りまで見に行く。川沿いに柳がゆれて、訪問者も地元の人もみんな浴衣で、これはいつの時代だろうな、と不思議な、なにか夢のなかを歩いているような感じだった。

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2日め、無事終わる。