旗当番

玄関先に、黄色い旗の入った袋がおいてあると、翌朝は旗当番です。
今朝、旗当番だった。通学班の引率。
朝7時。子どもを連れて旗もって、集合場所の公園まで歩いていると、道で町内会長に会う。
「熊が出たよ、熊が」と言う。
午前5時半、谷底の道を、向こうの山からこちらの山へ、小熊2頭と母熊が道をよぎっていったというのだ。
数日中にまた回覧板まわってくるな。
「熊出没注意」

なぜ熊が出るの、と子どもがきくから、
これから秋になるでしょ、冬になったら熊は冬眠するから、それまでにたくさん食べなくちゃいけない。熊は食べ物を探しに出てくるんだよ。
そういうときに、熊をおどかしたりすると、襲われたりする。
だから山のほうにはひとりで行かない、もし誰かと行くときは、鈴や音の出るものを鳴らしながら行くんだよ。
というようなことを、話していたら、子ども、
「秋になったら、熊がおそってきます」とぶつぶつ呟きだした。
これがな、はまると、同じことを繰り返し繰り返し言うんだな。

さて公園で、同じクラスのTくんが、それを聞きつけておもしろがり、
「秋になったら、りくしがおそってきます」
といいながら、りくをおいまわす。
あんたが、おそってんじゃん。
「秋になったら、りくしがおそってくるって、りくつが通じねえだろ」と6年生の男の子がTくんに言うが、りくつっていう言葉が通じてねえ。

途中の神社の前で、老人会のおじさんが待っていて、なんでも、挨拶月間らしく、挨拶した子どもたちに、挨拶カードとかいう、バスの切符くらいの紙切れを渡す。集めると何かもらえるらしい、と素直に期待しているうちの1年生も、なんかあわれなんだが、
「これいらん、いちいち名前かくのめんどくさいし、10枚も20枚もたまるし、どうするん、もう」と、ぶつぶつ言っている4年生女子あたりは、すっかりおばさん予備軍という感じだよ。
また、おじさんたち気前よくて、毎日5枚ほども行き帰りの道でくれるんだった。ひきだしに、ざくざくたまっていく。

道はかたつむりも歩くのだ。見つけたら拾わないと気がすまない。3年男子、かたつむりと一緒にバスに乗る。
やれやれ、行った。