百年の終わりに

そういえば去年の今頃は、河津さんとのコラボ集『天秤』を上梓したのだった。(なんかずっと昔のことみたい)
2009年はヴェイユの生誕百年だったから、ヴェイユを読み直しながら、作品をつくっていったのだけれど、彼女の言葉が、現在にいっそう切実であることに心打たれた。

今年は、日韓併合から百年なんだなあと、1月に朝鮮大学校を訪れたこともあって、年の最初にそう思った。

  地図の上朝鮮国に黒々と墨をぬりつつ秋風を聞く  石川啄木
  明治四十三年の秋わが心ことに真面目になりて悲しも
  何となく顔が卑しき邦人の首府の大空を秋の風吹く

韓国・朝鮮から見れば、あるいは在日朝鮮人から見れば、この国は百年、なんにも変わっていませんよ。という言葉を、何人もの人から聞いた。
本当にそうなんだろうなあと、それなりに身にしみて感じた一年だった。今年、高校無償化から朝鮮高校が除外されたままだという現実は、とても象徴的だ。

私なんかでさえ、考えれば息がとまりそうなほど悔しく情けないのに。
百年前にこの国に石川啄木という歌人がいたことが、救いのように感じられるこの頃。

次の百年はどんなふうになるのだろう。



私は、楽しかった。今年、私は本当に楽しかった。
敬愛できる人たちに出会えて楽しかったのです。
みなさん、ほんとうにありがとう。