虫の食卓

 夏の間、昼間は暑いし、夕方は雷雨夕立、蚊が湧くし、で、庭の手入れをさぼっていた。歩くと顔にからまりそうな蜘蛛の巣をとるのと、玄関先の雑草引きぐらいはしたけど。でもだいぶん涼しくなってきたので、久しぶりに、蜘蛛の巣をとりながら見てまわると、つるばらも桜も落ち葉の季節を待たずに葉っぱがない。黄色い花を咲かせていたはずのユリオプスデージーも芯しか残っていない。これから紅葉するはずのもみじも穴だらけの破れたレースのような葉っぱになっている。みんな、虫の食事になったのだ。大きなかまきりも出てくるし、子どもをおんぶしたバッタもぴょんぴょん跳んでいる。
 思わず息を呑んだのは、桜の木の、残りの葉にむらがっていた、赤い毛虫たち。去年は青い小さいのが群がっていて、それは全部箸でとったのだが、この赤い毛虫ははじめてみる。子どもの指ほどの太さがあって、かなり大きい。相当に不気味。根もとの菊の葉にも群がっている。箸でつまんでもなかなかとれないので、しょうがない、殺虫剤をかけたら、ぼたぼた落ちていった。きみたち、これから何に変身するつもりだったんだろう。ごめんな。
 シュウメイギクが咲きはじめた。韮の白い花も咲いている。
 今日はすこし草引きしよう。