プール

  療育センターに行くと、ダウン症の女の子が、といっても20代くらいかな、掃除をしている。
 昔、学童保育でバイトしていたとき、ダウン症の女の子がいて、掃除が大好きだった。たぶんもう、中学生くらいになっているはずだけど、元気かな。
 基本的に私は掃除が嫌いだけれど、彼女のことを思い出すと、掃除をするのが楽しいことのような気がしてくる。彼女がとても楽しそうに掃除をしていたので。
 そういえば「あわてんぼうのサンタクロース」の歌も、彼女に教えてもらった。元気かな。
 
 月曜日、療育センターの支援学級は、2回目のプール。子ども、はじめてのこととか、何でもないことでも、何か変化があると、それはとても不安なことのようで、1回目はどうしても水着にならず、靴下を脱ぐのもいやで、結局、プールにも入らず、横の小さなたらいで、水を散らして遊ぶだけだった。それでもずぶぬれになったのは、私が水をぶっかけて、ずぶぬれにしたから。
 2回目のプールは、ズボンとパンツを脱いで、水泳パンツをはく、まではひとりですいすいできた。そのあと、上着と靴下を脱ぐのがどうしてもいや。靴下を無理矢理脱がせたら、部屋の隅まで走って逃げて、うずくまってしまった。でもほうっておいたら、そのうち、プールまで出てきて、たらいの水に足をいれたら、上着も脱いだ。そのあとはプールに入って、楽しく遊べてよかったことでした。
 
  親のほうは、担当の保育士さんと面談。幼稚園とか保育園とか、訊かれたけれど、何にも考えてない。「ママといっしょ」とすぐにしがみついてくる子が、どうやって幼稚園にひとりで通うのか、まだ想像もつかないんだけどな。知的障害はないので、加配はつかないでしょう、と言う。ということは、きみは、なんとかひとりでやってかなければならないわけだ。
 で、幼稚園とか保育園とか、どうやって、探すんだろ。私はつまり、何を考えて何をすればいいのかな。
 
 ごめんよ。親たちもきみと同類なので、いまだにいろんなことが、難しい。プールも、高校まで十数年間、泣きそうな夏を過ごしたあげく、私はついに泳げないまま。