お母さんの作文

ようやく机のまわりの雑多な紙屑を片付けたら、こないだ書いた、卒園文集用の作文が出てきた。お母さんは作文を書いたのだ。なんかなあ、こういうの書くって、われながらちょっとけなげと思うよね。
思わないか。

こんなの。


   りくしのようちえんものがたり

 2008年4月、入園式の朝に『ぜったいがっこうにはいかないからね』(チャーリーとローラのおはなし)という絵本を出して読み始めたことが忘れられません。不安と緊張いっぱいだったかな。慣れるのに少し時間がかかったね。きみはみんなからぽつんとはなれて、ひとりだけ机に向かってすわっていました。5月、みんなが母の日のお母さんの絵をかいているときに、きみはケロロ軍曹の絵をかいていて、お母さんはケロロになりました。安佐動物園の遠足では、ひとりでとっとこ走って行って迷子になったね。しかも迷子になったことに気づいてない。先生たちにも心配かけました。6月、靴下大好き、はだし大嫌いなきみが、みんなとプールに入りたくて靴下を脱ぎました。ごはんの度に食べ物がウンチになって出ていく話をしてくれたのは、毎日、保健室のポスターを見ていたからだね。元気なウンチをめざしました。9月、夏休みが終わると朝の幼稚園バスにひとりで乗れなくなり、ママや先生に抱きあげてもらって乗ったね。運動会の練習はさぼりまくり、教室は脱走しまくり。でもザリガニの餌係をしてたのかな。運動会本番はがんばったね。いい笑顔でした。10月、「ぼく、じんせいがつまんないんだ」というので心配しましたが、11月の生活発表会では立派に鬼の役ができて、じんせいはまた楽しくなったね。教室でお友だちと一緒にすわれるようになり、脱走もしなくなったんだよね。
 2009年4月、年長さんになった最初の参観日に、きみがみんなと一緒に楽しそうにすわっているのを見たときは嬉しかったです。母の日の絵もケロロじゃなくて、お母さんの絵になりました。「ぼく、むりだよ」と言っていた太鼓の練習も靴下脱いでできたし、お泊り保育もへっちゃらで、花火大会もとっても楽しんでいたね。運動会のリレーもひとりで走れたし(抜かれたけど)がんばったね。お友だちと遊ぶのもますます面白い。年中さんのときは電車の絵本ばかり借りていたのが、年長さんになったらねずみくんの絵本ばかり借りてきて、ねずみくんの赤いチョッキをママにつくらせた。空き箱の船を毎日つくって帰って、お部屋に港ができました。秋には近くの空き地に畑をつくって、畑の野菜をお弁当に入れていったね。お箸も使えるようになったし、野菜も食べられるようになった。ほんとうに、この2年間のきみの成長は、とてもすばらしくて、パパもママもとっても楽しかったです。ありがとう。これからも、難しいこともたくさんあると思うけど、大丈夫、明るく乗り越えてゆけます。
 あや先生、見守ってくださった先生方、本当にありがとうございました。