企画書

 23日、私が一杯280円のうどんについて、思いをめぐらしていたとき、階下では、夫と子どもが、うどんの100倍はしようかというNゲージ(鉄道模型)について密談をすすめていた。

「私は反対だってずっと言ってるよ。まだ早すぎる。畳一畳分の広さなんて、そんなスペース、この家にない。それに値段が高い。高すぎる」
「だって、りくが、こんな企画書出してきたんだ。(Nゲージの設計図らしきもの2枚)パパパパと追い回されて、毎日毎日こんなもの見せられるんだ。買って遊ばせてやればいい。そうすればそのうち飽きるから。遊びたいときにケチって遊ばせないと、あとまでずーっとひきずって、わしみたいに大人になりきれないような人間になってしまうんだ」(それは一理あるかも、と思う)
「パパが遊びたいの?じゃあ勝手にすれば」
「わしが遊びたいんじゃない。指も痛いのに、細かい作業するのいやだよ」
「じゃあ、だれが細かい作業するの」
「ママ」(「ママ」とちびさんも口をそろえる)
「いやだよ!」
「そんなことない、絶対ママにむいてる。絶対たのしい。それで一万円出せる?」
「ない!」

 そんなやりとりがえんえん続き、つまり、店屋に並んでいたNゲージのセットが割引価格で、ちびさん、それが売り切れちゃったらどうしようと気が気じゃないらしい。遊ぶのはもちろんまだ数年先でいいが、こんなに企画書までかいているのだから、もしもまだ割引価格で残っていたら、買っておいてやってもいいのではないか、ということなのだった。

 じゃあ、その前にうどん食ってから。

 ということで、うどん屋経由して街へ降りる。ネバーランド、というお店。私ははじめて入るが、パパとちびさんはもう何度も来ているらしい。目当ての品は、あった。それも、前より割引率が大きくなり35パーセントディスカウントの上にさらに10パーセント引き。
 店の人に、企画書見せて、何やら相談している。もうひとつの小さいセット(10パーセント引き)も買って、うどん50杯分くらいにおさまった。

 ちびさんのプレゼンの勝利、というべきなんだろうなあ。

 ただし、これで遊ぶのは、きみがお箸でごはんを食べれるようになってから。トイレで▲できるようになってから。指をくわえない、紐を噛まない、おもちゃを口に入れなくなってから。対象年齢8歳以上だから、せめて小学生くらいになってから。
 そのころに遊ぶ気をなくしていたら、いいよ、私が遊ぼう。

パアララン・パンタオのブログ「レティ先生、ヨリー先生へのインタビュー」UP
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