キャンディーと爆弾

朝、幼稚園バスを待っているときに、行きかう人に声をかけられると、ちびさん、いろいろと大変である。
私の後ろにかくれたり(それでもって笑っている)、たーっと走って逃げて、背中向けたまま、何かうなったり踊ったり(へらへら笑っている)。
とってもあやしい子どもになるのだ。

「はずかしいかね。そういうころよね」
と言ってもらえるのも、いまのうちだけだからな。

たぶん、どうしていいかわかんないから、どうしていいかわかんないなりに、何か反応しようとしてるんだろうが。
でもいちいち、隠れたり、逃げたり、うなったり、踊ったりするの、面倒くさいだろう。
おはようございますって言われたら、おはようございますって言えばいいんだよ。こっちのほうがよっぽど簡単だと思うけどな。

と言ってはみるが。
(その簡単なことが、私はとっても難しかったのさ)
ちびさん、素直に「うん、わかった」とは言うが、翌日はやっぱり、かくれたり、うなったり、踊ったり、するんである。

「どろぼうだ、たいほする」とつかまえられるのがいやなんだ、と何日もぐずぐず言っていたが、「今日はぼく、警察のなかまに入れてもらった」と嬉しそうに帰ってきた。ふむ、役割交代して遊べるのならいいや、それで誰がどろぼうになったの、ときいたら「お姉ちゃん先生」(実習生)。

幼稚園から毎日あれこれ、ゴミを抱えて帰ってくる。制作物、というべきなんだな。自分がつくったものとか、もらったものとか。昨日もって帰った、どんぐりをセロファンでつつんだキャンディーは、隣のクラスのMちゃんにもらったらしい。かわりにちびさん、ゼリーのカップをふたつセロテープでくっつけて球にした「ばくだん」をあげたんだって。「ばくだん」いくつもつくって、ほかのお友だちにもあげたんだって。

「ぼく、たーくさん、ばくだんつくるんだ」って、ああ、テロリストみたいなことを。