自閉症児のコミュニケーション(アスペルガー症候群、高機能自閉症)その2

(つづき)

☆「車が故障しているから動物園には行けない」がわからない。

前の日、ママ「明日は動物園に行くよ」
当日、車が故障していることが発覚。
でも、子ども「動物園は?」としつこく聞く。
ママ「車が壊れちゃったの。わがまま言わないの」
子ども「『車が壊れたら動物園に行かない』って言ってない」
ママ「そんな屁理屈言うんじゃあありません」
姉はあんなに楽しみにしていたのに、他のことをして遊んでいる。
→子ども「なんだこりゃ?」

☆「車が故障しているから動物園には行けない」がわからないのはなぜか。

車が故障した→車が動かなかったら、動物園だけでなく出かけることが難しくなるということを理解するのが難しかった。
楽しみな動物園のことで頭がいっぱいで、その日ママがどんな行動をとっていたか、見ていたかもしれないけど、それがどんな意味をもっているかわからなかった。
一般にはママのあわてぶりを見て、その理由をきいたり、何かを察知して自分なりの対応を考える。そして「ああ、故障したのか、今日はもう行けないな」と理解して、次のことを考える。
この子どもは、始終ワクワクドキドキ「動物園に行くんだ」と自分の世界に入り込んでいて、突然わけもわからず「ハーイ、今日は行きません」とつげられたような格好。(小道モコ「あたし研究」より)


うんうん、こういうことは家族3人とも(とくに私とちびさんは)よくあるよくある。突然の変更に対応するのが難しいし、起こっている出来事の因果をつかむのが難しい。
「屁理屈」というのもよく言われた。口を開けば、屁理屈と言われるほど。理由を聞かれたから答えると、屁理屈言うなとかさ。たぶん、相手の理屈に沿ったものの考え方をしていないとか、期待される返事をしていないということなんだとおもうけど、そんなのわからんもん。屁理屈って文句いうくらいなら、最初っから訊くな、あるいは、どう答えればいいか、どう答えてほしいか、指示しろ。って思う。
そんなわけで「屁理屈」を理屈と思えない人がきらいだ。でも向こうに悪意はないと思うから、また好きになる努力をするのが、なかなかくたびれる。


☆「ちょっと待ってて」こんな簡単そうなことが難しい

ちょっと→どれくらいかわからない。ちょっとじゃない人もいる。見通しがつかないから不安(定型発達の人は、相手の置かれている状況に自分を重ねて、今のちょっとはこれくらいかなと予測をたて、心の準備をする)
待つ→何をしたらいいのかわからないから困る。その場から動かず待っている。心配して待っている。他のことをして過ごす時間にすりかえるのが難しい。他のことをしているうちに、何をしているのかわからなくなる。
円錐のなかにとどまる感じ。信号待ちと同じ待ち方。きょろきょろするのはOK。
「ちょっと」を明確にして「待つ」を明確にできたら、だいぶ楽に「ちょっと待っている」ことができる。
(小道モコ「わたし研究」より)

☆言われても何をどのようにしたらいいのかわからない

言われても、それをどのように具体的にやればいいか思いつかない。
「ちゃんとしなさい」→ちゃんと、って?
「したくをしなさい」→したくって、何すること?
「どうすればいい?」→ってきかれてもわからん。
「自由に遊びましょう」→何すればいいのだろう。
「給食ですよ」→それで?

☆意味が省略されていることばの指しているものがわからない。
これいいね、きょうはどう、そうそう、いいね、すごいね、
ほめられたけど、なにを、どのように、だれのこと

春になったら1年生ね(曖昧だが共通した認識)
春は345月。3月1日にはじまる。3月にはじまるから1年生には3月1日になる。4月に入学式は?

☆何がわからない?

今から部屋の掃除をしましょう →どこをどうすれば?
今から給食ですよ →何をすれば?
運動会はみんなで協力してがんばろう →みんな? 協力? がんばる?
雨なので、きょうは外で遊べません →外で遊べなかったら何をしていいかわからない。
外で遊ぼう →外で遊ばなくちゃいけない、と思いこんでしまう。
小さい子にはやさしくしてあげよう →小さい子? やさしくするってどういうこと?
どうしてそんなことするの →なんのことを言われているのかわからない

☆状況に依存していることばの意味がわからない
「たぬきときつね、どっちにする?」うどんのことだとすぐに察するとか、が難しい。
「あついね」
部屋があついのか、太陽があついのか、熱があるのか、食べものがあついのか。どの意味かを状況から察することが難しい。

☆ばらばらの物事をつなげて理解することが難しい。

ちがったふうにつながっちゃったりもするしね。


(つづく)


たとえば。
「あなたは普通じゃない」「あんた変よ」とはよく言われた。そう言った人が次のように言うのだ。
「普通はこうするもんだ」「Aちゃんはこうしてたよ」
私は思う。ふーん。
だって私は「普通じゃない」し、「Aちゃん」でもないのだから、私には関係のない話だ。ただ他人の話を聞かされているだけ。
ところが、
彼らは、私に、(普通はこうするもんであり、Aちゃんがこうしているように、あなたにもこうしてほしい)、と言外に言っていたらしいのだ。
そんなの絶対にわからん。
で、言われるんだな。あんたは人の話をきかない。俺の言うことを無視しやがって。
それくらい言いだす頃には、相手はものすごーく怒っているのだが、なんで怒られるのか、私はさっぱりわからん。

「わたしはあなたにこうしてほしい」って、はっきり言え。ばか。
他人が自分の思い通りに動くと思うなよ。あほう。

曖昧な言い方をして、相手に通じないからって怒るのは、卑怯と思うべきだと思うな。アスペルガーにはアスペルガーの都合がある。