檸檬爆弾

人生の難しさを、全身で感じているような日々。
だそうです、息子。
 
進路、志望理由書について、先生たちそれぞれの善意の指導に、いろいろ凹まされてきた息子が、なんかいきなり、先生に手紙を書きはじめた。
書き終えて、晴れ晴れした顔で「檸檬🍋爆弾」と言った。国語の教科書の梶井基次郎檸檬」の文章を暗誦してみせる。
いや、ほんと爆弾。いい手紙だし。
 
進路指導室、吹っ飛ぶかな。どうだろね。
 
なんか、すごくたくましくなった。この子は私が思ってる以上に、自分をよく知っているし、信じているし、世間の無理解もわきまえながら、希望をなくしてない。
とはいえ、難しさがなくなるわけではなく、模試はE判続きだ^_^
 
全身で、というわけは、勉強しようと頭は思うのに、体はひたすらに眠りたがる、ということらしい。
 

推薦を考えるなら、どうしてクラブをもっとがんばらなかったのか、などと言われたらしい。でも、だいたいが、指導教官がいなくて放置されてたクラブ……。どこにもほかに居場所のない生徒たちが、集まってきてたし、息子はそこで、彼らが居心地がよいような場所にしよう、自分にとっても楽な場所にしようと、配慮していた。自分も含めて、そういう逃げ場が必要な子たちがいるということを、息子はわかっていたし、そうすべきだと感じてそうしていたのだが、その見えない努力は、絶対に見えないので、決して評価されないと思う。

(でも、クラブで怠けていただけなのは、本当なので、なにを言っても言い訳にしかならないのも本当。なので、そこは反論しない。)
 

彼が、どんなにさりげなく、いじめられやすい、居場所のない友人たちの味方になっていたかは、決して知られることはないだろうけど、本当に大切なことは目に見えないということを、改めて教えてくれたよね。

 
怠けることは、大切なんだと思う。また何人か、学校を休んでいる。1週間とか2週間とか。怠けながらでないと生きられないって、あるよ。
 
 
彼の志望理由書には、彼が子どもの頃から経験してきたことのいろいろが反映されているんだけれど、それは、先生たちの理解をはるかに超えると思う。はるかにはるかに超えるよ。
 
経験の核には、発達障害があり、いじめやら何やら、ひとつひとつ乗り越えてきた息子は、それを自分の個性とも強みとも思っているけれど、世間がそうは見ないこともよくわかっている。だからものすごく気をつかって作文も書いているんだけど、パターンにあてはまらないから、先生たちいろいろ言うわけ。もっと右とか、いや左とか、もっとこっちを書けとか、いやこっちだとか。ああだとかこうだとかそうだとか。
 
息子、とうとうがまんならなくなって、僕の経験と進路希望の核には発達障害があるけれど、差別と偏見がこわいから、カミングアウトしたくない、とカミングアウトしている。このことをわかってもらった上で、指導してもらいたい。

という「檸檬🍋爆弾」。

 
ないものは見せられないし、あるものは隠せないし、自分の靴で歩かないと転ぶから、自分はこれでいい、ときみが思うところでいいんだよ。
 
ああ、大人も大人でそれなりに、人生の難しさを、全身で感じている日々であります。

畑のマリーゴールド。鹿よけになるとか。なるかな。

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