逃走のすすめ

子どもの学年がちがったり、登校班がちがったりすると、まあまあ聞きやすいというか、聞いても差し障りなさそうなので、出会ったついでに、聞いてみると、いろいろ出てくる、

「うちの子が、下級生にボールをぶつけた、という連絡を担任からもらったので、あやまらなきゃ、と思って相手の連絡先をきいたら、たいしたことではないし、先方もだいじょうぶだからといっているので、いいですよ、と言われたので、相手もわからないまま、そのままにしていたら、あとになって、○○さんの親は、怪我をさせたのに謝りにもいかない、相手の子は病院にも通ったのに、と噂になっていて、びっくりして腹が立って。」

「低学年のときに、学校に行きたがらなくなって、きいたら、5人くらいからいじめられていて、それは学校でも確認して、親にも連絡いったはずだけど、謝罪の電話があったのは1人だけ」

などなど。
親としてもさ、自分の子が何かしたときに、相手に謝らないと、後味悪いだろ、と思うんだけど、なんか、相手が見えないような仕組みになってる感じ。連絡先って担任に聞かないとわかんないんだよね。教える教えないは担任の判断なのか、それとも教えないというきまりになってるのか。
だとしたら、あやまりたい親はどうすればいいのか。
参観日とかで、誰かにきいて、探し出して謝るしかないとして、参観日で会えるとは限らんし。ハードルたかい、よね。
今度、教頭に聞いてみよう。

教室から逃げていいんだよ、と子どもに言う。学校から逃げていい。
学校でいやな思いをすることがあったら、きみはそこにいなくていい。通学用とは別に、逃走用のバスカードをあげるから、それをランドセルに入れといて、いつでもそれをもって、学校を出ていって、バスに乗って、好きなところに行っていい。どこへでも迎えに行ってあげる。
どっち方面のバスに乗って、どこで降りてどこで遊んで、どんな冒険して、どうやって帰るか、いろいろ考えておくといいよ。

そのこと先生もわかってる?
と不安そう。

教頭先生には言っといた。いやだな、危険だな、と思ったら、すぐ逃げる。学校のなかでがまんしてやってもいいと思ったら、職員室か校長室か保健室か事務室か、あのあたりどっか大人のいるところに逃げる。
でも、そんなに近くだと追いかけて来るかもしれないし、先生がかばってくれなくて不安だと思ったら、もっと遠くに、学校の外へ逃げましょう。

きみが逃げ出して、あたふた先生が追いかけなければならないとしても、それは先生の仕事のうち。
でもきみが逃げないで、いじめられて心が傷ついたら、それはみんなの一生の後悔。
だから、逃げなさい。
いったん逃げて、それから戦いましょう。

学校から逃げたからって、勉強できなくなったりしないし、
きみは自由だよ。

その自由は、手放しちゃいけないんだ。