よからんはふしぎ

「よからんはふしぎ、悪からんは一定(いちじょう)と思へ」
という言葉が、しきりに脳裏をよぎるこの頃。



「生きてる間に会いにきなさいよ、私もう歩けなくなって車椅子なのよ」って電話の向こうの声になんて答えていいかわかんない。歳月はおそろしい。昔ある時期いっしょにくらした4匹の猫の最後の一匹が夏に死んだ。電話の向こうは猫の飼い主さん。「あんたは長生きしなきゃだめよ。子ども小さいんだから」



「姉さん」と電話をかけてきたのは弟で、知人の老夫婦のとこに電話が通じないって言う。それは私も何度訪ねても留守なので気になっていた。おじさんは以前から入院しているんだけど、もしかしたらおばさんも入院しているよ。
弟、気になったらしい。突然瀬戸内海こえてやってきた。「いま、おばさんちの前。どうしたらいいか」って電話かかってくる。このあたりの、突然の脈絡のなさが、弟である。
私のカンだと日赤にいる。行ってごらんって言ったら、しばらくして日赤から電話かかってきた。おばさん、誰にも内緒で入院してる。かれこれ一か月。3か月ごとにあちこちの病院を転々していたおじさんは、老人ホームに入ったらしい。また退院したら連絡するわっておばさんは言い、弟は、これからまた海を渡って帰るのらしい。

弟、持病の腰痛がひどくて働けなくなったから、いまいるところも出なきゃいけないらしい。家に帰れよって言ったら、
「親父の家に? むりむりむりむりむり!」っていうのが、勢いよくて、笑ってしまった。
それでどこいくつもりって聞いたら、高知かどっかっていう。友だちがいるらしいが。うん、落ち着いたらまた電話して。

私は女の子なので、とりあえず頭ん中お花畑にして、人間関係のこじれたあたりは知らぬふりで、明日からの連休、またちょっと帰省してくる。弟の話もしとこう。子どもは釣りをしたがってるけど、台風くるっていうし、無理かな。



パアラランのニュースレター印刷、発送一段落する。
お世話になりますみなさま、いろいろといろいろとありがとうございます。
昔、ほんとにお金がなかったときに、会う人会う人お金がないのって言ってまわって、ふっと差し出された千円に、思わずふかぶかと頭がさがったことを、思いだしたりした。いつもいつでもあのあたりの初心にもどりながら、すすんでゆきたいと思います。

よからんはふしぎ。あれから学校が、いままでつづいてきたこと、たぶんとても発展しながらつづいてきていることは、ほんとうにふしぎ。