秘密

「ママがいなくても平気だよ」と子どもはたのもしいことを言う。

ママがいない間、パパとふたりで大変楽しく過ごしたらしい。
パパと玩具屋に行って、電車走らせて、電車買って、外食して、お子様ランチには車の玩具がついていて、しかも、ママがいないときは、怒られても泣いていく先がないので、パパは怒らないのである。

ストレスたまっていたのはパパだったが、りくはそのへん上手で、「パパあいしてる」とか「だいすき」とか、手紙かいて、いたわってやっている。

なかなか立派な父子家庭。

さて、ママのいない間に、何度玩具屋に行ったのか、何をどれだけ買ったのか、パパからはきいたが、ひとしきり私は文句も言ったが、りくからは何にもきいていない。「ママには絶対秘密」なんだそうだ。

小学校にもっていく、罫線のないよい子ノートは落書き帳。入学から半月でほぼ一冊、電車だの飛行機だの船だのかきまくって、もう残りページがない。もう一冊のよい子ノートは、朝、バス通学で誰よりも早く登校するので、時間つぶし用に一冊入れているのだが、謎の線で埋められつつある。そのノートも、「ママには秘密」である。
どうやら電車の模型の設計図らしいんだな。くねくねしているのはレールらしい。こっそりパパに見せて、何ごとが相談している。

この秘密主義ぶりは、なかなかたいしたもので、この口の堅さは、評価できるかもしれない。きっと仲間を裏切るようなことは、しないだろう。
私が口を割らせようと、あれこれもちかけても、「あー、ママ、だいすき」などと言って、キスして、はぐらかすもんね。

昨日は家庭訪問。
今のところ、何にも問題はないみたい。給食が、あまり食べられないけど、そのような子はほかにもいる。動作がとくにのろいということもなく、指示がきけてないということもなく、勉強も集中して取り組めている。おともだちとも話したり遊んだりできているし、かなりうるさくなっても、耳をふさぐということも、いまのところない。
まあ、楽しそうに登校しているので、こちらもなんにも心配していない。というか、この一ヶ月ほどの間にも、驚くほどしっかりしてきて、ふん、ママに秘密までもつようになったのだ。

今日は、交通科学博物館にパパと遊びに行った。自転車の練習をするんだって。