空からの風


 11月になった。11月は、空を見上げている記憶。
 この月は、身近な人の誕生日と命日がいくつもある。たぶん、生まれたり、死んだり、そういうことについては、きっと空を見上げるよりしょうがなくなってしまうからなのだと思う。

 1日の今日は子どもの誕生日。私の息子は2歳になる。
 2年前の今日、日付がかわってすぐに陣痛がはじまって、朝の10時頃生まれた。
 生まれた日だったか、次の日だったか、病室の窓から空を見たとき、(白い曇りの空だった)、 ふと、李陸史の詩のフレーズが胸をよぎった。

      はるかな日に
     天が初めてひらかれ
     どこかで鶏(とり)の声が聴こえたろう
                李陸史(イユクサ)「廣野」

 空からの風がまっすぐ心に吹いてきた気がした。