夜ごと夜ごと


 夜になって、ざんざん雨降り。どしゃ降り。最近、夜になると降る。

 子どもは夜ごと夜ごと、電気を消してからがうるさい。闇のなかで、1時間も2時間も、しゃべりつづけ、歌いつづけ。絵本は何冊も暗記しているようで、それを呪文のようにぶつぶつ唱え、かと思うといきなり歌いだす「咲いた咲いたチューリップ」「どんぐりころころ」その他あれこれ。どんぐりころころは10回ほどはリフレインしたのではなかろうか。
 ふいに音が途切れた、と思うともう寝ている。

 最近、何かにつけ、欲しいものや気になるものがあると、「○○ちゃんの」「○○ちゃんの」と言い張ってゆずらない。自我の出てくる年頃なわけだけど、「○○ちゃんの」の所有の「の」を聞くと、「自我」というものは「存在」ではなく「所有」だというヴェイユの言葉が、すんなり納得できる。
 「所有」である以上は、いつか「放棄」しなければいけない。たぶんそれは、所有することよりも、大事なこと。