愛の手紙

 カレル・チャペックさんからオルガちゃんへの手紙はこんなふう。

 「そしてもし、もう、ぼくから喜びを得ることが出来なくなったら、少なくとも自分から喜びを得るようにしてください。」(1923年6月3日)
 
 「ぼくのもっとも固い信念は、人間は人生を満足に生きようと思うなら、健康になりたいと思わなければならない。幸福になることを望まなければならない、自分自身を均衡の取れた、オプティミストになるよう自分から努めなければならない。(略)もし退屈になったら、退屈しなさい、ただしユーモアをもって。」(1926年9月9日)
 
 「人間は自分のなかに一片のクリスタルのようなものを持っていなければならない。何か滑らかで、純粋で、硬くて、しかも何ものとも混じり合わないもの、すべてはそこを通過して出てこなければならない、何かそんなものを持っていなければならない。(略)すみませんがね、もうそろそろ自分に対する感動、他人に対する感動といった感情的ぼろっ切れをいっぺんにふり解いてはくれませんかね、そして究極的にはクリスタルになる努力をはじめなさい。(略)
 その意味するところは、何よりも、その自己中心主義から、自己愛の自虐的な形式である偏狭な自己体験を振り払うこと、そして自己研磨をはじめなさい。」(1934年7月18日)
 
 『カレル・チャペックの愛の手紙』(田才益夫訳 青土社)から