能く忍んで

寒くなってきたので、エアコン代節約のため、息子の部屋に居候している。
いや、パソコン置いてるので。
それにしても。のらりくらりしてる子を見てるのは、だるい。考査前らしいけどなっ。冬休み前の面談のお知らせも来てたけど。

SNSで、いきなり水没した町の写真が飛び込んできた。一昨日。フィリピンの台風被害。被害のひどかったカシグラハン・ヴィレッジはマリキナ川の流域にある。氾濫したのだ。マリキナ川、氾濫しやすい。近くのサン・イシドロにはゴミの山がある。貧困世帯も多い地域だ。平屋ばかりなのに、屋根まで沈んで。パアラランのエラプ分校はカシグラハンに隣接してる。パアララン・パンタオの友人からは、心配しないで、大丈夫ってメールきた。
いま支援の呼び掛けを彼らはしてる。衣類や、食べ物や、衛生用品を集めてる。
クリスマス前に、送金するつもりだったの、少し早く送ったほうがいいかどうか、送れるかどうか、考えたい。

この秋、SNSで知る故郷のニュースは、店がつぶれる話ばっかり。いつも行っていたスーパーも、温泉も。本屋も。夏には兄も仕事を失ったし。

世界、こんなに壊れやすい。父が死んで従姉が死んでの今年なので、少し、勘弁してもらいたい。遠くの友だちは闘病中。

息子のクラスの友だちが、1か月余りぶりに、また学校に戻ってきたのが、ああよかったな、と。

カレル・チャペック『白い病気』という本、1937年に書かれた戯曲の新訳(栗栖茜)が出ている。パンデミックの話。チャペックは、凄いな。あなたは歴史の傍観者でいられないよ、という仕掛けとしての白死病だが。

シモーヌ・ヴェイユ『神を待ちのぞむ』も新訳(今村純子)刊行中。これは、美しい音楽を聴いているようだった。いろいろとなつかしくて、数ページごとに泣きそうだった。タイトルには、「忍耐とともに」という意味もこめられていたらしい。能く忍んで。

 

何か美しいものに触れていたい。
そうでないと、あれこれの惨さに、呆然とするばかりになってしまう。
いやまず、自分の精神と行いをきちんとさせたい。