過集中

「ごはん!」
と呼んだら、「いま、えをかいているんだよう!」
と返してきた。4歳児が、仕事の邪魔すんな、という口調で。

過集中というのは、アスペルガー症候群の特徴ではあるのだが、うちは親子3人みんなそうなので、面倒くさい。互いに気持ちがわかるからと、相手の過集中を許容すれば、とても平和だが、生活時間はぐちゃぐちゃに乱れてしまうし、生活時間を守ろうとすれば、過集中を中断されたストレスで、ちびさんはいつでも、ときどきは親たちも、泣いたり怒鳴ったり、かんしゃく起こしたり。
その間を、毎日揺れ動いているんだが、最近ちびさんの過集中が、迫力出てきた。

実際、食べたり、着替えたり、風呂に入ったり、歯磨きしたり、布団を敷いたり、電気を消して寝たり、という普通のことをこなすのが、毎日けっこう力技なのだ。自分ひとりでも難しいのに、3人分なんだよね、これが。

アスペルガーで検索すれば、「自分の好きなことに熱中して、時間を忘れる・基本的な日常生活習慣が身に付かない」というようなことはどこにでも書いてあるが、まあね、ふつうはね、母親のしつけがなってないと、思われるわね。否定するつもりもないけど。

「お母さんも、ふつうがわかってないですよね」と療育センターの保育士さんに、あるとき不思議そうな顔で言われたけれど、あれはなんの話のときだったのかな。まあいいや。

ちびさん、卵を上手に割れるようになった。昨日の昼ごはんのオムライスの卵を全部きれいに割れてご機嫌だった。ご機嫌ついでによく食べたから、晩御飯、絵のつづきをかきたくて、ろくろく食べなかったけど、まあいいや、ということにした。

ペリカンという字をひとりで本を見て書いたら、思いのほかに上手に書けたのがうれしかったらしい。「ペリカン、かんたんだった」という。カタカナは簡単かもしれない。ひらがなは、曲線の多いのに手こずっているけど。
で、ペリカンという字を書きながら、パンツのなかに▲したんだな。

毎回こうやってパンツ洗うの大変だろ、というのを、いちいち見せているんだけど、伝わんないわね。後始末している間もずっと「ペリカンかいたのよ」と言い続けている。ペリカンはいいからさ、自分の粗相のほうを意識してくれ、頼むから。