ボケガエル

「ステーション、ステーション、うちゅうステーション
ちびさん、ご機嫌よろしく歌っている。
銀河鉄道のどこかに、宇宙ステーションがあって、そこにボケガエルたち(失礼!ケロロ軍曹さんたち)が降りてくるのらしい。
それでパパが、「ケロロランド」なんて本買ってくるんだ。
私は一行も読んでやらないが、ちびさん、自分で読む。しかも暗記する。つまんないまんがの、なんでもないセリフにはまったりして、それを繰り返しては、ケケケケケケケヒヒヒヒヒヒヒ、と笑うんである。かなり不気味。買ってからもう20日ほどになるのに、飽きる気配もなく、一日に何度もこの本を繰り返し見ている。あれこれのカタログを指さしては「ママ、これ、いるの」などと、うるさい。
それで、こんなケロロずきん、私もつくったりしているし。

「ママ、ケロロくんは○○○○○○○○○っていったのよ」
「ママ、ギロロくんは△△△△△△△△△っていったのよ」
「ママ、クルルくんは◎◎◎◎◎◎◎◎◎っていったのよ」
「ママ、タママくんは×××××××××っていったのよ」
「ママ、ドロロくんは◇◇◇◇◇◇◇◇◇っていったのよ」

布団に入ってからも毎晩喋りつづけ。電気を消したあとの暗がりのなかでも、どうかすると一時間も喋っている。相手をすれば増長するし、無視しても自分のペースで喋りつづけるし、「うるさい、だまれ」というと一瞬しずかになるが、またしばらくすると、小さな声で喋りはじめ、だんだん大きな声になり、ついに歌いはじめる。「ステーション、ステーション、うちゅうステーション
だから、ボケガエル、だまれってば。

子どもが寝るときは、ママがご本を読んであげて、などという、うるわしい光景は、わが家には存在しないのだ。

それにしても、いまいましいボケガエルの本である。