結婚詐欺

どこか南の島で、結婚詐欺! している夢を見た。
南の島のどこかの飲み屋で、私はおじさんたちの財布から、一枚二枚抜き取っては、「これ、ほんものだよね」とか言いながら、あしたの結婚式に誘っている。「誰の結婚式って、もちろん、あなたのですよ。奥さんいてもいなくても平気。問題じゃありません。ここでは誰でも結婚式できるんです」とか言っている。

それであしたになって、結婚式場は、小学校みたいな建物で、建物に入っていくと、階段を下りてきた先生が、「いま子どもたちは試験中ですよ」という。「はいわかりました」と返事して階段をのぼっていく。
結婚式場は、テイッシュの花や色紙の輪っかをつなげて、小学校や中学校の文化祭みたいに飾り付けられた教室で、私は、入口に机を出して、やってきた新郎たちや、客人たちから、ご祝儀を受け取っている。
そういえば、新婦はどこだ、とふと思う。気づくと、私がドレスを着ているので、私が新婦なのかもしれなかったが、そんなことは気にせず、集まったお金を、「これ、ほんものだよね」と一枚ずつ光にすかして見ている。
お金が集まったところで、私は集まった人たちに言う。「いま、隣の教室でも、階下の教室でも、子どもたちが勉強しています。試験中のクラスもあるので、くれぐれも静かにしてください。そこにあるお菓子やジュースを食べたら、片付けはいいですから、そのまま、静かに解散してください。よろしくお願いします」
そう言って、私は、他の人たちを部屋に残したまま、お金を抱えて部屋を出ていく。

集まったお金は、そのまま学校の運営費になるのでした。

それから場面が変わって、私は、大きな(家ほどの大きさの)丸い石の上にすわって、何か文庫本を読んでいる。「ボヴァリー夫人」みたいな印象の本。丸い石はすべりやすく、何度もすべり落ちる。すべりおちる度に、またよじのぼって、文庫本を読む。何度目かにすべりおちたとき、頭上から鳥の声が聞こえた。

ああ、目ざましが鳴ったのだ。

起きてから、ちょっと考えた。
もしかしたら、あたしは詐欺をしているんだろうか。いやいやそんなはずは……