おやすみ

私が幼稚園のころに買ってもらった絵本3冊が、まだ手もとにある。
 世界の名作絵本1 フランダースの犬 母をたずねて
        2 マッチ売りの少女 雪の女王
        3 クリスマス・キャロル しあわせな王子
そろそろちびさんに読んでやろうかと思って、読んでやっていたのだが、駄目。読みながら、泣いてしまう。
私が泣くと、ちびさんが動揺して「ママなかないで」と泣くので、絵本どころでなくなるのだ。フランダースの犬、母をたずねて、マッチ売りの少女、と3晩つづけて泣いて、そのまま中断している。
だって、母をたずねて、はともかく、あとは小さい子たち死ぬんだもん。
ちびさん内容を理解しているふうでもないが、理解してほしいかほしくないか、こちらの気持ちも微妙。
そういえば、これらの本を母に読んでもらった記憶はない。ひとりでこっそり読んでいた気がする。家に本がほかになかったせいもあるが、くり返しくり返し読んだ。雪の女王が好きだった。

フランダースの犬も、マッチ売りの少女も、寒くてひもじくて死んでしまう。なんてリアルな話だろう。仕事を失った派遣社員が一か月前に餓死していた、というニュースが目にとまる。病気で働けなくなったらしい。大人も餓死するのだ。私たちが、餓死も凍死もせず、米があり屋根があり、こうしてまだ生きていられるのは、なんて不思議な幸運だろうと、思う。

 私たちの最後が餓死であろうという予言は……

というフレーズが耳にもどってくる。「智恵子抄」。15歳くらいのときに読んだと思う。

 私達の最後が餓死であらうといふ予言は、
 しとしとと雪の上に降る霙(みぞれ)まじりの夜の雨の言つた事です。


久しぶりにお気に入りの映画館のホームページを見たら、来月「雪の女王」がかかるらしい。50年前のソ連のアニメーション。リンクをたどっていたら、谷山浩子が「カイの迷宮」というアルバムを出しているらしく、探しに行ったら、ひどくなつかしい曲を見つけてしまった。ということで、貼っておきます。「おやすみ」