フェニックス

フェニックスの街に、息子を置いてきた。

3月31日。車に布団や服や折り畳みの机や炊飯器などなど積み込んで、出発。雨が降るなか息子の引っ越し。そういえば幼稚園の卒園式も、小学校の卒業式も、高校の卒業式も、全部、雨だったな。

桜島が見えたら、到着。ホテルで一泊して、翌朝、不動産屋さんに鍵をもらいに行く。

4月1日。法律が変わったので、18歳の子は、今日から成人、なのだった。
あれこれの書類も、手続きも、全部、自分でやってくださいね。スマホでできることはスマホでさくさくやってしまっているのが、さすがと言えばさすが。

翌日、冷蔵庫や洗濯機が届く。パパが、先回りして用意していたのだ。近くにリサイクル店があり、そこで安い中古品を見て、これでよかったじゃん、と私は思う。
そこでは家具を買った。私は本棚を、パパは椅子を、息子はソファーを見つけた。生活に必要なものとして、何がまず気にかかるかが、それぞれ違って面白かった。
ネット環境を整え、現金をもたせたら、あとはもう、親はいらないはず。

ところが、入学式もまだなのに、4日からオリエンテーションがはじまり、終日なので、かわりに市役所には行った。

ガスがまだで、お風呂が使えなかったので、私たちは温泉まわりした。日曜はみんなで指宿に行き、火曜は息子が大学に行ってる間に、桜島の温泉に行き、翌日の夜は、近くのお風呂屋さん。
いい土地だね。

7日、はじめて見送る側かも、という息子に、「ご安全に」と送り出してもらって帰る。

街に、フェニックスがあるのはいい。それだけで心強い気持ちになる。桜島まであれば、もう最強ではないか。

国破れて山河あり、と杜甫は言ったけど、山とか木とか、味方だと思うよ。
鹿児島、桜島、私の子をどうかよろしく。

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春休みに使った青春18きっぷが1枚残っていたので、日曜日、あの子は枕崎線に乗ってJR最南端の駅まで行ってきたらしい。