発見

幼稚園の土曜参観日だった。
行くとちびさん砂場にいた。年中さんのときに教室を脱出しまくっていた印象が強烈なせいか、いまだに、みんなのなかで、うまく遊んでいるちびさんを見ると、それだけで感動してしまう。音楽教室で一緒のもえちゃんをくどいてるし。マフラーつくるといって毛糸をもっていっていたが、ほんとにマフラーできてるし。

先生が、声をかけてくれる。歌わないとぶちころすの一件以来、ちびさん、幼稚園では口パクを実践中。
最初は「嘘だ」と自分でも思いみんなにも言われたが、口を動かしただけでもすごいと、いまはみんながほめてくれるらしい。
北京オリンピックで歌った女の子も口パクだったのだし、口パクは、オリンピックなみに立派なことなんだと、私も言ってやりましたが。

「今度のことで、りくしくん、ぼくは、みんなに見られているんだということに気がついたみたいですよ」と先生。
それは、ちびさん、すごい発見かも。私は大人になっても気づきませんでしたね。
クラスの朝の集まりで歌うとき、ちびさんしっかり口を動かしていた。おお。歌っているようにみえるよ。途中でめんどくさくなるのか、やすみやすみだけど。

お母さんたちのコーラスを聞く。歌いながら聞きながらすでに涙ぐんでるお母さんたちもいて、来月の卒園式はどうなるんだろう。
そのあと、来年度の方針について、園長の説明を途中まで聞く。来年度はいないので、聞く予定はなかったのだが、なんとなく。来年度から、モンテッソーリ教育を本格的に取り入れていくらしい。ああそれで。秋ぐらいから、地理や算数のクラスがときどきあって、ちびさん楽しんでいた。

でもこの幼稚園、モンテッソーリでもそうでなくても、つくづくちびさんには向いていた。たぶん、入園の最初の日に、先生2年目のあや先生が「一生懸命勉強します。よろしくお願いします」と言ってくれたことがすべてだった気がする。心から感謝します。
ちびさんが、みんなと一緒に歌っている(ふりをしている)。私はありえない光景を、見ているなあ。だからといって、風景がうるんだりはしないけど。

夕方、思いついて、空き地の畑に行く。熊手をもっていって、枯れたカヤとか下草とか、払ってやったら、ふふん、出てきた。食べ頃のふきのとう20個ほど発見。
世間のことはさっぱりだが、世の中は私にはわからんルールで動いてると思うほど、わかんなかったりするが、こういうふうに野草をかぎ当てるとかは、けっこう上手にできるじゃん、と思う。ふと昔、夕方の雲の流れを見て、翌日の天気をあてていたことを思い出した。小学生の頃だったけど、一時期あんまりよく当たるので、自分で気味悪いほどだった。

発達障害とか自閉症とか、コミュニケーション障害だけれど、ただ、人間とつきあうのが難しかったりするだけで、でも世界は人間だけでできているわけでもなく、子どもの私は雲と話ができたし、ふきのとう摘んでるすこしの時間で、さっきまでの頭痛も消えて、かなり気持ちが晴れたし、子どもの私と夕空、今日の私とふきのとうの関係は、いいものだと思う。

そのような幸福な関係を、たくさん発見することができるといいな。ちびさん、きみも。

ふきのとう半分ほど、天ぷらにして、ふきみそもつくった。