ちびた鉛筆

おとといの夕方、学校から電話。
子どもの筆箱から、鉛筆が全部、なくなったらしい。掃除の前まではあったけど、午後に見るとなくなっていた。どうしてかわからない。

「いま、他のクラスの先生も一緒に探してくれて、一本だけ、机の横にかけた手提げにはいっているのが見つかったんですが、あとが見つからないんです、すみません」ってフリーズ先生。

探している光景が目に浮かぶなあ。消えた鉛筆は、おそろしくちびて、しかも子どもは鉛筆を噛むから、短くなった頃には噛み砕かれている状態で、5本とも全部そうなのだ。見つけたら、たちまちゴミ箱に捨てたいような代物である。それを一生懸命探しているのだと思ったら、なんだか申し訳なくなってきた。

何があったのだろうなあ。
なんにしても、ちびた鉛筆、むきになって使い続けているんだが、(むきになってパパが使わせようとするのを、子どもは感動して受け入れたのだった)ようやくこれで、新しい鉛筆を出せるなあ、と思えば、消えごろではある。

いじめられてるんじゃないか。隠されたり捨てられたりするなんて。
とパパが心配するのがめんどくさい。

学校とか行っていたら、いろいろと羽が生えて消えていくもんだよ、と私は思う。それでどうして消えたかは絶対わかんないと思うよ。
私、小学校のとき、帰ろうと思うと靴箱から靴が消えていて、ながい間そんなことがつづいたんだけど、どうして消えていたのかついにわからんもん。
で、放課後には靴がある世界と靴がない世界のふたつがあるんだと思ってた。帰ろうと思って靴がないと、ああ、また、靴がないほうの世界に来てしまったんだなあって、がっくりするんだけど、探してると出てきたし、そのうち、靴のあるほうの世界にもどれたし。
たぶんいろいろ羽が生えるんだよ。鉛筆も消しゴムもノートも。私はリコーダーも羽が生えていなくなったし、高校のときには体操服が消えた。消えたままかえってこなかった。
で、何があったのか、なぜ消えたのかは、いまにいたるまでわからない。
そんなもんよ。

で、そんなもんだった。
子ども、なぜ鉛筆がなくなったか、何が起こったか、さっぱりわからない。べつに誰にもいじめられてない。もしかして自分が誰かを怒らせたかどうかも、わかんない。
それに鉛筆、あれだけ使ったら、いくらなんでも十分だと私も思うわ。あたらしい鉛筆を出してやれてうれしい。噛むな、と一応は言ったが、翌日にはもう、すべてに噛み跡がある。

ところで消えた鉛筆は、戻ってきた。電話のあとも、フリーズ先生、今度は教頭先生と一緒に探し続けて、ついに見つけたのでした。5本とも。
すべて5センチくらいの小さいやつ。涙ぐましいなあ。ああ、いい先生だなあ。

すこし感動しなさい。教室じゅう探してくれたんだよ。先生にありがとうって言った? 言ってないだろ。言わなきゃ。



で、書き忘れたけど、昨日の日記の映像は、グループ名を「モンダンヨンピル(ちびた鉛筆)」というのでした。ホームページあった。

http://ameblo.jp/mongdangj/
http://www.mongdang.org/