黒い雨と白い雪

黒い雨について。

「広島の原爆投下直後に降った、いわゆる「黒い雨」。大量の放射性物質が含まれていたとされるが、黒い雨がどこに降り、人体にどのような影響を与えたのか、明らかにされてこなかった。こうしたなか、被爆者の研究を長年行ってきた放射線影響研究所は、先月、広島の原爆投下直後に黒い雨にあったとするおよそ1万2000人分のデータを一部公開した。新たに明らかになったデータからは何が分かるのか、黒い雨の実態に迫る。」

【本放送】NHK総合 1月20日(金) 午後 7:30 ~ 7:58
中国地方向け>
【再放送】NHK総合 1月21日(土) 午前 10:05 ~ 10:33
中国地方向け>
全国ネットでやってほしいですけど。
内容はこちらに詳しい。
http://kyumei.me/?p=784


黒い雨の降雨地域
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012012002000193.html

黒い雨:67年後の無念…厚労省検討会、拡大認めぬ報告http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120120k0000e040262000c.html 

つまり、うちの近所のおじいさんたち、黒い雨を浴びたのに被爆者と認めてもらえない。

このあたり、黒い雨はざんざん降ったそうである。原爆は市内に爆弾が落ちたとは思わなかった。山のすぐ後ろに落ちたかと思った。それくらい近くに見えた。

でも黒い雨が降ったと国は認定しないし、被爆者と認めてももらえないので、病気になってもなんにも補償はない。認定された地域の人たちは医療費を出してもらえるのに。
被爆者手帳を出せとまでは言わんが、健康診断くらい無料で受けさせろと、おじいさんたちは毎年陳情している。
つつましい陳情だ。原爆で死んだ人がたくさんいるのに、生き残った人は、それだけでも後ろめたい。そこで声をあげるのは、なかなかたいへんなことと思うよ。何年も何年も言い続けても、相手にされないのに。

年寄りたちのあれこれの病気が被爆のせいか、二世三世の障害や骨の病気や原因不明の体調不良は、関係あるかないか、わからない。でも調子の悪い体を何十年もひきずって生きる現実は、しんどい。

黒い雨を浴びたってことは、それから何十年もたって、甲状腺の手術したり、手足がしびれたり、骨が駄目になったときに「黒い雨のせいかの?」って不安をもつってことだ。
手足のしびれを「黒い雨のせいかの?」って言っていた近所のおじいさん、最近はあまりまともに会話もできないみたいだ。ドクターストップかかってるのに酒飲んで、車の前に飛び出すのであぶなくてしょうがない。
町内会長たち、警察に相談に行く。もし誰かが、じいさんをはねても、大目に見てくれ、という話をしに。
団地内徐行徹底のこと。

戦争だの原爆だので、みんないろいろと傷ついているのだ。認知症になった年寄りも大人しいのは施設で面倒も見てもらえるが、暴れて危険なのは、精神病院に入る。するとまもなく亡くなるんだそうである。もう何年も前だが、近所のじいさんも、帰ってこなかった。老人会の噂話は、こわいので書かない。

被ばくした地域の拡大を認めないということは、いまの福島やその近辺の人たちも、当然、被曝を認めてもらえないだろう。67年後にも無念だろう。

「国なんてそんなもんよ」
「被ばくの補償するんなら、黒い雨浴びたわしらが先で。福島や関東より、わしらが先で」
「福島はまだええのよ。相手が日本や。言うていく先がある。わしらアメリカや。もっていく先がない」
「広島は復興したいうが、放射能に弱い人間から死んで、何年もかけて死んで、生き残った強い人間で復興したのよ。体ぼろぼろになりながら、復興するのよ。そのうち、福島弁も広島弁になるわい。やっとられるかい。」

みたいなことを、書くのは品がないだろうな。

黒い雨の新しいデータについては、降雨地域の拡大を認めて、その地域の被爆者の存在を認めたら、これまで出してきた100ミリシーベルト以下はなんとかの被爆リスクについてのデータの信憑性が疑われてくるらしい。それでかどうか、放影研は、科学的に重要視する必要のあるデータではない、みたいなことを言っているらしい。

「ほうじゃろうのう。わしらの被ばくを認めたら、福島や関東も認めんといかん。それがいやなんじゃろう」

科学的にどうこうは、私は知らん。だけど、うちの近所のじいさんたちを無視した科学なんか「冷酷」というべきだと思う。
吉本隆明がどう言おうと、そんな冷酷な文明なんかいらん。



白い雪について。

東北でも北海道でも、雪が降ったら除雪車が出て、まず一番に小中高校の学校と通学路を除雪するらしいのですが、朝鮮学校については除雪してくれない。半世紀以上、除雪のお願いをしているが、してくれない。
そこに子どもが通うのに。
ということははじめて知った。震災のときは、避難者がいるのに、給水車朝鮮学校を素通りしたそうだ。
大阪も東京も、愚にもつかない理由で、というか、ほとんどいちゃもんつけて、朝鮮学校への補助金を停止している。

どこまで冷酷な日本だろう。