アンパンマントイレ


 子どもが2歳になったときに、義母が用意してくれていたアンパンマンのおまるを出して、2週間ほど毎日すわらせてはみた。ボタンを押すと、アンパンマンの声や音楽が流れるのを楽しんでいたが、まだ1度も成功しないうちに、寒くなってきたので、あっさりやめた。トイレトレーニングなんて春か夏にするもんだ。
 と思っていたら、数日前のことだ、「ウンチ」と言った子どもが、続いて「パンマン!(アンパンマン)」と叫び、洗濯機の横にあるおまるまで行くではないか。もしかして、ここでウンチをするつもりなのか、と思ってあわててズボンを脱がせ、オムツを外してすわらせた。子どもはさっそくボタンを押して、アンパンマンの曲にあわせて、裸のお尻をふる。……それで終わり。
 1日に2度、朝と夕方にアンパンマントイレにまたがったが、お尻をふっただけ。夜になって部屋のすみで、腰を浮かせて変な格好で遊んでいるから、もしやと思ってみてみたら、やっぱりオムツのなかにしていた。
 そんなわけで、アンパンマンのおまるはまだトイレではなく、ちびさん専用の、ジュークボックスとか、ディスコとか、なんかそんなものだ。寒いのに、わざわざお尻を出しにいかなくても、と思うけれど、ときどき思い出したように「ウンチ、パンマン!」と叫んで走っていく。そうすると後をついていって、脱がせるよりしょうがない。めんどくさ。