気後れ


 毎日新聞ニュースの「こころの世紀 女という名の病」(心理学者・小倉千加子) http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kokoro/onna/の39回目のタイトルは「最後の手紙」。ということはナイトメアの物語も、そろそろ終わりに近いんだろうか。キーワードは「内面世界」

 読みながら、いったいどうすれば、社会に参加できるのか、どれだけ走ったら、世の中というところに追いつけるのか、見当もつかず、途方にくれっぱなしだった頃のことを思い出したりした。
 どうすれば大学を卒業できるかがわからなくなって、留年と休学を繰り返したこと。なんとか卒業したけれども、今度は、どうすれば就職というものができるのか、わからなかった。学生の頃からアルバイトで食いつないでいた生活だったから、それをずっとつづけることとなった。ずうっと。

 夢のなかで、傍らにいた人たちが次々と去っていくのを、見送っていた。どこかへ、私もいかなければならないはずだったけれど、どこへ行けばいいか、何をすればいいか、世の中へ出るための最初の手続きのひとつもわからないまま、(他の人たちがどうしてその手続きを知っているのか不思議だった)、ひとりだけ取り残されてしまう、学生の頃、そんな夢を何度も見た。どうしようもないから、見た夢のことをノートに書いていたりした。

 どうすれば世の中というところに追いつけるのか、わからなくてもいいやと、人生のどこかで開き直ったけれど、いまも、世の中に対する気後れみたいなものは、私のなかにある。たぶん、ずっとあるだろうな、という気がする。