星のあな

オリオン座流星群を見ようと、二晩続けて夜10時頃にちびさんと外に出て、散歩するが、あいにく二晩とも、オリオン座の方角はうっすらと雲がかかって、しかも団地のあかりが反射して、流れ星見えない。
夜道の散歩だけ楽しんだ。カシオペアとプレアデスが見えた。
幼稚園児をずっと起こしておくわけにもいかないので、ちびさんには寝てもらったが、いま外に出たら、南の空はもう晴れていて、オリオン座がくっきり見える。しばらく見ていたら、ほんとうに流れ星流れた。
流れ星だよー。

もっと見ていたいけど、寒いし首が痛いし、あきらめてひきあげた。
昔、15年前かな、獅子座流星群を多摩川の河川敷に寝ころんで見たことを思い出した。児童館の親子参加の行事にボランティアで行ったのだった。テント張って。うん、寝転んで見ないと、首が痛いよ。



今月末の幼稚園の秋まつりで、クラスごとにお店屋さんを出すらしい。ちびさんのクラスは「たからやさん」。女の子は指輪とかブレスレットとか、男の子は手裏剣とか輪ゴム鉄砲とか、つくっているらしいのだが。
何を売ろうか、とみんなで意見を出しあったときから、「あな」と言っていたらしい、ちびさん。「たからやさん」に決まってからも、「あー、でもぼくは、あなを売るんだ」と言っている。
「りくしくんにとって、穴がたからものなら、穴でもいいと思いますよ。相談してみますね」と先生は言ってくれて、大きい穴や小さい穴、長い穴、短い穴、○や△や□やいろんな穴をつくるんだ、と相談はまとまったらしい。

あな。

穴なんてどうやって売ったり買ったりするのかと思ったが、気づいてみれば、コップも穴なら茶碗もきゅうすも穴である。水道もジョウロも排水溝も穴である。穴がないと役に立たない。ゴミ箱も穴なら、ドアも窓も穴、バスも穴。車も穴。電車も穴。アイスクリームのコーンも穴。帰り道でトイレがまにあわなくておしっこする側溝のふたの穴。ネジ止めの穴。ドラム缶の穴。マンホールの穴。トンネルの穴。種をまく穴。骨壺も穴。この世は穴だらけ。穴からはじまって穴でおわるわけだ。必要なのは穴である。無であり全て。

そんなわけで、幼稚園の帰り道、ちびさんとふたり、穴を探して歩いているこの数日。

あな。

そうだ、☆型の穴も提案してみよう。