歌人の帰郷

11月28日のデーリー東北新聞に、蝦名泰洋さんの記事。歌人の帰郷。

そうでした。一番最初の手紙は、十和田湖町からもらったのでした。湖畔にはこぶしの木もあったと想像する。私が、たぶん、こぶしの花を知らないと言ったのだと思う。これがこぶしの花だよと、花びらが、古い手紙、30年前の手紙から出てきて、ぎょっとした。変色して、干からびていたけれど、どこかに、生きものの名残りがあって、妖精の羽だったかしら、という感じがした。

十和田湖に、私は行ったことがない。

  桟橋は廃墟となりて数本の杭がかたむきぼくを待っている (蝦名泰洋)

亡くなる前に預かった歌たちのなかの一首。杭たちには会えましたか。

県境ぐらいまでは送って行けたかしら、私は。本を出せて、よかった。死の知らせだけを、告げる係でなくてよかった。ちゃんと、お土産にご本もって、帰郷したから。

12月1日付には、書評も。

郷里の方々に、受け止めてもらえて、ほっとしています。

ありがとうございます。

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