ママのいいなり

母の日の、日曜の夜中、夜更かしをしているのをパパに見つかった子ども、泣いている気配。しーらないっと。
1度や2度じゃないもんね。
「おねがいです、パパに言わないで、極秘事項にして」って頼まれて、見て見ぬふりをしてあげたのも1度や2度じゃないもんね。
このあたりでちゃんと叱られなさい。

しばらくして、子ども、しゃくりあげながら、やってきた。
「寝る時間を守れないなら、全部ひとりでやれって言われた」

ひとりで起きて、ひとりでごはんつくって食べて、ひとりで着替えて、ひとりで学校に行く。ひとりで帰ってきて、ひとりで宿題して、ひとりで時間割して、ひとりでごはんつくって、ひとりで食べて、ひとりでお風呂に入って、ひとりで歯磨きして、ひとりで着替えて、ひとりで寝る。

あたりまえのことですがね。

「そんなの無理だよ」
えーんえーんえーん。

「それで、ママがゆるしてくれるかわかんないけど、あやまってこいって」
もうしませんって、何度言ったのかな、もう。3回嘘言ったら、羊飼いの少年は狼に食われてしまうよ。少年が、じゃなくて、羊が、だけど。

でも物音はしなかったんだよね。音を最少にして、DVD見てたりするときは、それはそれで気配でわかるんだけど。さっき見たときは電気消えていたし。
何してたの。
「最初は寝ていたんだけど、どうしても本が読みたくなったから、つい読んでしまいました」
なんの本。
「ママが買ってくれた、こども歴史新聞の本」
おもしろい?
「とっても」
気持ちはわかる。似たようなことを私だってしていたのだ。
でも、夜寝ないと大きくならないよ。

罰は何がいいでしょうか。
と言ったら、子ども、
「一週間ママのいいなりになるっていうのはどう?」
って、自分から提案してきた。

それはおもしろい。
いいなり、っていうのは、かものはしペリーのアニメの歌のなかにある言葉なんだけど、それでちょっと面白そうに見えたんだろうな。
(このとき子どもは、ゲームやアニメを禁止されるのでなくてよかった、と思ったらしい。)

じゃあ、最初の命令です。すぐに寝る。



次の朝、私が、
「わたしデューフ、みんないいなり。フッフー♪」
って歌ったら、子ども、
「彼はデューフ、わたしいいなり。フッフー♪」
って歌って答える。

さて帰ってから。
ゲームもアニメもなしね。今から畑に水やりにいくよ。
って言ったら、子ども、パーニック。

でも約束でしょう。きみはママのいいなり。

「でも、それじゃぼくは奴隷じゃないか。ママは独裁者みたいだよ」
と、じょうろで水を運びながら、怒っている。
でもママのいいなりになるってそういうことだよ。
自分で決めた罰でしょう。

「だけどそれはあんまりなんじゃないの」
すねたり、泣いたり、めんどくさいのなんの。

「ああ、人生最悪の一週間だよ」
うるさい。文句を言わない。

子ども、途中で黙って逃げてしまった。やれやれ。
でも、私が水やり終えて帰ったら、「ママ、ごめんなさい」とあやまってきた。
「こども歴史新聞」読んでたら、気持ちが落ち着いたらしい。

ゲーム15分だけ許可したら、ものすごく感謝されたわ。



昨日の夕方は、遊ぶ約束して帰ったらしく、着替えてすぐに出ていった。近所の子らと公園で野球。

それで私はひとりで水やり。

初打席で場外ホームラン、だったらしい。
「ボールがみつからなくて大変だったんだ」ってさ。

成長しているのである。野球して遊べるようになった。守備は全然だめらしいけどね。